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めかぶぷりん
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#あべさく
うめぼし
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本話は【恋心に鱗】の過去に遡ったエピソードです。
14年前の目黒さん視点の話になります。
ぜひおまけ程度の軽い気持ちでお読みください。
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小学生の時、親が勝手に履歴書を芸能事務所に送ったことがきっかけで芸能界へ足を踏み入れた。
特に興味があったわけではない。
友達との遊ぶ時間も減った。
稽古が嫌だと思うこともあった。
そして初めの2年くらいの間は仕事らしい仕事もまるでなかった。名前の無い脇役や一瞬だけ映るようなエキストラで出演があっただけ。
それでも活動は辞めなかった。
自分がほんの少しだけでもテレビに映っただけで向井が大喜びしてくれたから。
セリフもないような役のドラマでもわざわざ録画をして何度も見返したと報告をしてくれた。
もしかしたら、もっとすごい役を貰えたら向井はもっと喜ぶのではないか。そんな気持ちが芽生え始め少しずつ自分からオーディションを受けに行くようになった。
そんな頃に向井に言われたことがあった。
🧡「最近趣味でカメラ初めてん!めめモデルになってや!」
父親からおさがりの一眼レフカメラを貰い、休みの日はずっと写真撮影をしているそうで、そのモデルをして欲しいというお願いだった。
撮られる仕事の練習になるかもしれないと思い目黒は快く了承した。
小さなスタジオでの撮影と外での撮影だったが向井は終始楽しそうだった。時に真剣な目でカメラを覗き込む姿が不覚にもかっこいいなと思った。
🧡「ええねぇ!かっこいいよお兄さん!!」
🧡「ほなら次こういうポーズとってみてや!」
常に声をかけながらの撮ってくれて自然と笑みが零れたのも覚えている。向井もその瞬間を逃さずにシャッターを押した。
🧡「見てやめめ!この顔めっちゃ良くない?」
🖤「ほんとだ笑撮るの上手いね」
🧡「せやろ?才能あるかもしれん笑」
その日のうちに向井は撮った写真を厳選しデータを送ってきてくれた。どの写真も綺麗だった。
ふと思いつき、所属している芸能事務所に頼み込み向井の撮った写真を公式HPに掲載してもらった。
数日後には目黒のプロフィールページに向井の写真が載った。
🧡「プロの写真と並んどん!?わかる人が見たら一発やで!?な、なんや恥ずいわ笑」
本人はそう言ったが目黒は掲載を取りやめるつもりは一切なかった。
それからしばらくした頃。目黒が中学2年になる夏のことだった。
公式HPの目黒の写真を見たというものが事務所に連絡をしてきたらしい。
♢「目黒くん!すごいよ!映画のオーディション受けないかって!」
なんと映画のオーディションを受けないかという話だった。このチャンスを逃す訳にはいかない、即刻で受けますと返事をした。
その結果、見事に大抜擢。
世を震撼させる連続殺人事件の犯人が16歳の少年だったという話。なんとその犯人役に選ばれた。
芝居で役名をもらえた初仕事。もちろん向井にすぐ知らせた。向井の撮ってくれた写真を掲載した直後の話だ。写真のおかげに違いないと。
🧡「ちゃうちゃう!めめの実力やん!俺は写真撮っただけやもん。ホンマにおめでとう!!」
🧡「めめは早く世に見つかるべきなんよ。絶対映画館で見るけんな!」
見たこともないくらいの満面の笑みだった。
自分の事のように歓喜しながら抜擢を祝ってくれた時のことは今でも覚えている。
その映画で目黒の知名度は爆発的に上がった。
14歳にして謎めいた役を完璧に演じきり、映画を見たものの多くを世界観に引き込んだと絶賛。
そこから目黒の仕事は少しずつ増えるようになった。
目まぐるしいスケジュールで1年もあっという間にすぎた。
メディアへの出演も増えた中学3年生の夏。
運命が変わる時が近づいてきていた。
🧡「めめがどんどんすごくなってもうて……俺も鼻が高いわ」
🖤「康二さ、俺より喜んでるよね笑」
🧡「当たり前やんか。可愛いめめの活躍やで?俺が最古参やで?嬉しいに決まっとるやん」
🖤「最古参なの笑」
🧡「あ、そう言えばな!見せたいもんあるんよ!」
向井は思い出したかのようにカバンを漁り出した。
中から取り出したのは綺麗なケースに入った新品のカメラだった。
🧡「見て!バイトで貯めたお金で初めて買ってん!」
🖤「おぉ!すげぇ」
🧡「今までおさがりやったからな。アレ良かったけど、自分で買ったカメラやと余計愛着湧くわ」
🖤「……ねぇ。また写真撮ってよ」
🧡「ええの!?じゃあ今度の祭りで撮ろうや。浴衣着て!」
🖤「いいね笑 楽しみにしてる」
2人は小さい頃から毎年一緒に行っていた地元の夏祭りがある。屋台も大量に出店され、夜は花火も上がる。県外から来る人も少なくないような祭りだ。
目黒も仕事が増え行けるかどうか不安だったが、たまたまスケジュールが空き、約束通り向井と夏祭りへ行くことになった。
当日、時間は18時。周辺は混み合うからと少し離れたところで待ち合わせするのがお決まりだった。
🧡「めめぇ〜〜〜!!」
🖤「ちょっと康二、大声で名前呼ばないで笑」
🧡「あっっ、ホンマや。めめ有名人やもんな。ごめんごめん!」
待ち合わせの場所に行くと浴衣を身にまとった向井が立っていた。目黒を見つけた瞬間、嬉しそうに手をブンブンと振りながら駆け寄ってきた。
向井の肩には約束通りのカメラ。
🧡「今日はめめいっぱい撮るんや!」
🖤「花火とかも撮ってよ笑」
🧡「今日はめめがメイン!」
🖤「そっか笑とりあえずいこっか」
2人が会場に着いた頃には大勢の人間で大賑わいしていた。どこかから聞こえる太鼓の音、絶えず鳴り響く無数の下駄の音、鼻をくすぐる屋台の匂い。
本格的に夏が来たと感じる。
向井は意気揚々とケースからカメラを取り出し次から次へとシャッターをきった。カメラを構える向井は活き活きとしていた。
時間がすぎるのはあっという間だった。
🧡「もうすぐ花火始まる時間やんな?」
🖤「あ、康二先行ってて。俺電話入ってるっぽい」
🧡「はいよ〜待っとるで!」
花火の時間が近づいていた頃、目黒の携帯にマネージャーから着信が入っていたことに気づく。折り返す為に向井と1度分かれるが、ここだと人が多すぎて電話もまともにできない。
1度会場から外れた人通りの少ない細道へ出た。
マネージャーへ電話をかける。
🖤「すみませんすぐに出られなくて。どうしました?」
電話の内容は新しい仕事の打ち合わせの話だった。
すぐに話は終わり向井の元へ戻ろうとした。
その時だった。
誰かに腕を思い切り掴まれた。
「目黒蓮くんですよね…?」
🖤「えっ…あ、…はい」
「やっぱり!祭り会場で見かけてそうじゃないかなって!」
腕を掴んできたのは35歳前後ほどの男性だった。
🖤「もしかして……俺の事追いかけてきたってことですか?」
「だってこんなチャンスまたとないと思ったんだ」
「お兄さんと……イイコトしない?」
男の手の力が強くなった。目黒は危機感を感じたが遅かった。
🖤「いやです。俺戻るんで、離してください」
目黒は手を振り払おうとしたが相手は断固として手を離さない。
それどころか、腕を伝って目黒の肩まで掴んできた。
「初めて君を見た時…運命を感じたんだ。今まで色んな少年を見てきたが君はダントツだ。顔立ちも骨格も声も……僕好みだ」
街灯に照らされ見えた 男の目ですぐにわかった。
コイツは異常だ。
🖤「絶対行きません」
「嫌な思いはさせないよ」
🖤「今充分嫌な思いしてます」
「その目、映画の時と同じだ。蔑むような冷たい目……ゾクゾクする」
「……僕のコレクションに最適だ」
男の右手が目黒の背中をなぞった。その瞬間背筋が凍り脳内が真っ白になった。
何をするつもりなんだろうかと。想像もしたくない。しかし一回り以上の男相手に目黒は立ちすくみ身動きができなくなった。
その時、叫び声がした。
🧡「めめ!!」
下駄の音が聞こえたと思ったら向井が目黒と男の間に入り込み引き離していた。
時間が経っても戻ってこない目黒を探しに周囲を歩き回っていたのだ。
🧡「アンタ!めめになにしとるん!」
「……チッ。邪魔だ」
🧡「邪魔はアンタやろ?警察呼ぶで!」
目黒を背に隠し向井は男を威嚇する。
すると男は向井を頭からつま先まで品定めするように見たあと苦い顔をした。
「……顔が気に入らない。骨格は最高なのに残念だ」
🧡「あぁそうかいな。ほんなら良かったわ。アンタみたいな変態に好かれんで済むんやったらな!」
そう吐き捨てたあと向井は目黒に小さな声で言った。
🧡「……めめ、警察呼び。はやく」
🖤「…っ、うん」
震える手でスマホを開いた瞬間、男の様子が豹変した。
「いいのかな?そんなことしたら警察が来る頃には……君らはこの世にいない事になるよ」
🧡🖤「……っ!」
男が懐に手を入れ取り出したのは鈍色に光るナイフだった。向井も目黒もナイフを見た瞬間声が出せなくなった。
「ホラおいで…良い子だから。言う事聞いてくれたら痛いことはしないよ」
男がゆっくりジリジリと歩み寄ってくる。
その笑みはこの世の者とは思えないほど不気味に見えた。
🖤「……っこ、康二…」
目黒が向井の名前を呼んだ時、向井は震える声でけたたましい叫び声をあげた。
🧡「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
叫びと共に向井は手にしていたカメラを男の顔目掛けて思い切り投げつけた。
男が怯み視線が逸れた瞬間、向井は目黒の手を握り後方に走り出す。
🧡「めめ走れ!!」
🖤「康二!?」
手を引かれるまま全速力で走る。男が背後で何か叫んでいるような気がしたがお構いなしに走り続ける。
どれだけ走ったか分からないくらい走った先、灯りもついていない小さな神社に行き着いた。
境内に入り2人は息を上げて座り込む。
🧡「ハァ…ハァ……めめ、大丈夫?」
🖤「康二…ごめん」
🧡「え?なにが?」
🖤「康二の……カメラ……」
向井がバイト代を貯めて買った大切なカメラを犠牲にしてしまった。自分のせいだ。
しかし向井は全く気にしていないようだった。
🧡「何言うとんの!めめの命の方が大事に決まっとるやん!カメラなんて安いもんやで」
🖤「でも……っ」
🧡「ええのええの!怪我なくてよかったわ。それよりあんな危ないヤツ野ざらしにしとく方がヤバいわ。警察行くで! 」
🖤「康二!」
🧡「カメラはまた買えばええんやからさ」
🖤「まって!」
向井は息を整えたあと颯爽と歩こうとした。しかし目黒はすぐに向井の肩を掴み止めた。
向井の声が震えていたから。
無理やり振り向かせた向井の目には涙が浮かんでいた。そして瞬きによって頬へと流れ落ちた。
🧡「……なに?」
長年一緒にいて見たこと無かった。始めてみる向井の涙に一瞬言葉が出なかった。
🖤「…っ、康二………守ってくれてありがとう」
落ち着いていた向井の息がまたあがってくる。
過呼吸と共にこぼれるように本音が出る。
🧡「…………怖かった…」
ヒュルル…ドーン!!
その時、背後で大きな花火が上がった。
向井の涙は空に弾けた光によって反射され、キラキラとして見えた。
それが綺麗だと思ってしまった。
目黒は何も言わずに向井をそっと抱きしめた。
向井の涙が目黒の浴衣の肩口を濡らしていく。
年上だから、お兄ちゃんだから、守らなきゃと身を挺して助けてくれた彼の体が小さく感じた。
小さい頃はずっと見上げていたはずが、気づけば同じ身長くらいになっていた。
腕の中で弱々しくすすり泣く彼を守りたくなった。
今思えばこれが彼を好きになるキッカケになったのだと思う。
あのあと、2人で警察署へ駆け込み案の定事情聴取を受けた。
男は未だに捕まっていない。
そして、向井が投げつけたカメラも見つかっていない。
目黒の写真が大量に入ったカメラだ。男が持ち去ったに違いない。
その年のクリスマス。
目黒は向井に新しいカメラをプレゼントした。
初めは「こんなの貰えんて」と遠慮していたが最終的には受け取ってくれた。
🧡「めめ…ありがとぉ。めっちゃ大事にする」
そう言いながら向井はまた涙と笑みを浮かべていた。
嬉し涙だろう。
同じ涙でも、あの時花火に照らされた涙よりも一層綺麗に見えるのは恋心のせいなのだろうか。
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あとがき
読まなくても️⭕️
目黒さんが向井さんを好きになるキッカケのお話でした。
普通はこんなことで恋に落ちることなんてないかもしれないですが、そんな些細なことがキッカケで人を好きになってもいいと思うんです。
恋心というのは不可抗力ですからね。
これにて「鱗に恋心」は完結とします。
また本編の続編も出す予定ですのでまたそちらでお会いしましょう。
ありがとうございました♡
コメント
2件
お互いがお互いを想いあってて、優しさの塊みたいな2人だからこそ改めて幸せになって欲しいなと思いました😭 素敵なお話✨ 2人の起源を書いてくださりありがとうございました(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)