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#裏切り
#モテテク
#鬼滅の刃
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「今日からクリエイティブ・ディレクターとして着任しました、飯田詩織です。よろしくお願いします」
国内最大手のIT企業。
洗練されたオフィスで、私はかつての「おどおどした専業主婦」の面影を一切消し去り、毅然と挨拶をした。
直樹が「女には無理だ」と嘲笑ったステージに、私は実力だけで立っている。
仕事は順調だった。
けれど、私の復讐はまだ終わっていない。
直樹が逮捕された際
彼が使っていた秘密のクラウドストレージのパスワードを、私は密かに解析していた。
そこにあったのは、単なる不倫の証拠だけではなかった。
直樹が前の会社で関わっていた、数億円規模の「不透明な取引」の記録───
彼は莉奈に貢ぐために
会社の基幹システムを悪用し、特定の業者に便宜を図ってリベートを受け取っていた。
(直樹、あなたは自分がクビになった理由を『不倫と経費の私的流用』だと思っているけれど……それは氷山の一角に過ぎないのよ)
その夜、残業を終えてビルを出ると、入り口の影にうずくまる人影があった。
派手だった髪はボロボロに傷み、ブランド物だった服は見る影もなく汚れている。
「……奥様。いえ、詩織さん」
掠れた声で呼びかけてきたのは、莉奈だった。
資産家と結婚したはずの彼女が、なぜ。
「……あら、莉奈さん。新婚生活は楽しい?」
私は立ち止まり、冷たく見下ろした。
莉奈は震える手で、私の足元に縋り付いた。
「たっ、助けて欲しいんです……!!あの結婚、嘘だったんです。相手は結婚詐欺師で、私の貯金も、直樹さんから巻き上げたお金も全部持ち逃げされました。それどころか、直樹さんの『背任』の共犯として、警察が私を……」
莉奈の顔には、かつて私を嘲笑った時の余裕など微塵もなかった。
因果応報。直樹を利用し尽くしたつもりの彼女もまた、より大きな悪に喰われたのだ。
「私に何をしろと言うの?」
「お願いがあるんです、直樹さんの裏口座の情報を教えてください!あれがあれば、私は『脅されて協力させられた被害者』になれるんです!直樹さんを主犯にして、私だけは助かりたい……!」
莉奈の醜い懇願を聞きながら、私は確信した。
直樹が隠していた「本当の罪」を白日の下に晒すための、最高の駒が向こうから転がってきたのだと。
「…いいわよ、莉奈さん。協力してあげる」
私は微笑んで、彼女に手を差し伸べた。
「ただし、条件があるわ。……あなたが直樹の首を、直接、絞め落とすのよ」
かつて不倫旅行で私を嘲笑った二人が、今度は共食いを始める。
私はその様子を、特等席で眺めさせてもらうわ。
【残り81日】