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#雪男BL
透子
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美味しい夕飯をいただいた後で、3回目の入浴。
楽しそうに『散々振り回された仕返し!』をされた俺は、更にその仕返しに佐久間くんを抱き潰す勢いで抱いた。
『も、ゆるして、れん、』
『アッ……ん、そこ、やらぁ……っ』
『らめ、また、イッちゃ……あ、あっ、んんっ』
……洗面所で佐久間くんの髪をドライヤーで乾かしながら、数々の甘ったるい声を思い出してニヤニヤしてしまう。
そんな俺を、鏡越しに睨んでいる佐久間くん……だけど。
顔どころか耳も首筋も浴衣の前から覗く胸元までも真っ赤に染まっていて、ちっとも怖くないしただ可愛いだけだ。
「れんのばか」
「ふふ。いっぱい鳴いたね」
「うっ……も、もう許してって言ったのに!」
「後で覚えてろよって、言ったよね?」
「くっ……」
ぷっくり頬を膨らませはするけれど、ほんとは怒ってないんだよね。
こういうとこも可愛いんだよなぁ。
後ろから膨らんだ頬にキスをしてやると、可愛く唇を尖らせるのが面白い。
クスクス笑いながら丁寧にピンクの髪を乾かし、ドライヤーを止めた。
ふわふわになった毛先に、佐久間くんが持参していたヘアオイルを塗る。
「これだけ綺麗に整えたら、もうお風呂は入れないかな」
「さ、流石に1日4回は……めっちゃくちゃふやけそう」
「まあ、髪は洗わなくてもいけるか。汗流すくらいなら、ね?」
「ちょ、ちょちょちょっ、ちょっと待って!?まだすんの!?」
「俺はまだできるけど。……もしかして、佐久間くんはもう無理なの?」
「う」
「体力には自信があるはずの佐久間くんが?もう無理?」
「ぐ……」
「ああ、でもそっかぁ……最近今まで以上に忙しかったもんね。筋トレもなかなか出来ないって言ってたし……そりゃあ体力も落ちて……――」
「そっ、そんなことないやい!体力なんでまだまだバカ残ってるし!えっちの1回や2回や3か………………ぃ」
にっこり
雑誌の撮影で『アイドルスマイルくださぁい!』と言われた時の笑みを浮かべる。
その顔を見た佐久間くんが、キョロキョロと視線をさ迷わせた。
どうやら自分の失言に気付いたらしい。
「ま、待って蓮!今のは……っ」
「そっか。佐久間くん、まだ3回はイケるんだ。よーし、俺も頑張っちゃおっかなぁ」
「うぉ、おま、待て!待て待て!マジで待って!!ダンスの時の体力とえっちの時の体力とはちが…………」
「男に二言は無いよね?……大介くん」
「っ……!?」
くん付けだけれど、不意に下の名前で呼んでみる。
佐久間くんは目を真ん丸に見開いて、口をパクパクさせた。
「い、いま、なん、」
「恋人になったんだし。下の名前で呼んでみるのはどうかなって…………ね、大介」
「ほわ」
今度は呼び捨てにしてみる。
もうその目はこぼれ落ちそうになっていて、顔中真っ赤に染まった。
「可愛い、大介」
「くっ……ぅ、ちょ、待ってホント……な、なんか、う、ぅわぁ……」
「フハッ、なに、うわぁって」
「や、あの……し、刺激が強い……」
「何それ」
ククク……と喉を鳴らして、後ろから抱き締める。
佐久間くんは小さく震えながら、深呼吸を繰り返した。
「し、下の名前でなんて、呼ばれ慣れてないから……なんか、めっちゃ照れる……」
「まあ、メンバー全員上の名前で呼ぶもんね」
佐久間
佐久間くん
さっくん
メンバーだけじゃなく、事務所の先輩後輩、スタッフや共演者、関係者の方々……佐久間くんの家族以外はほとんどそう呼ぶ。
確かにそれは照れるかもしれない。
……でも、呼ばれ慣れていないということは、だ。
「俺だけ特別みたいで、嬉しいけどな」
「!……蓮、」
「大介って呼んでもいいのは、俺だけ。なんかすごい優越感」
「っふ、ふふふ……そんなの、優越感あんの?」
「あるよ。俺だけが呼んでいいんだから。……ね?」
「ん、んと……じゃあ、さ」
「うん」
「慣れるまでは、その……」
「セックスの時だけにする?」
「…………!!う、ぅ……お、おう……」
普段から呼べないのは残念だけれど、まあ……いきなりみんなの前で『大介』なんて呼んだら、めちゃくちゃからかわれそうだし……いいか。
特にしょっぴーやラウ辺りは大喜びでいじってきそう。
で、佐久間くんが真っ赤になる、と。
…………うん、駄目だ。
佐久間くんの可愛い照れ顔を見ていいのも、俺だけ。
「じゃあ、大介って呼びたいから……ベッド行く?」
「えっ!?い、いやぁ……ちょ、ちょっと待って!休憩!」
「休憩したらいい?あと3回」
「オッフ…………」
3回は冗談にしても(……いや、冗談にする気はないけど)、休憩後にもう一戦交える確約は取れた。
俺はニコニコ笑って、佐久間くんを抱き上げた。
「んわっ!?ちょ、ちょっと蓮!まだ休憩だかんな!?」
「分かってるよ。夜もだいぶ更けてきたし、ちょっと庭を散歩しない?」
「あ……っ、賛成!この時間なら、人居なさそうだもんな!」
「うん。ずっと部屋に閉じこもってるのもね……不健全だし」
「……不健全にしてるのは、蓮だと思う」
「佐久間くんがエロいから悪いんじゃない?」
「なんでだよぉ!?」
途端に騒ぎ出す佐久間くんの唇を、キスで塞いで黙らせる。
賑やかだと思ったら照れて黙り込んで。
ほんと、可愛いんだから。
***
リビングに戻って、浴衣の上から羽織を着る。
夏だしちょっと暑いけれど、万が一他の宿泊客とすれ違った時に……佐久間くんの無防備な浴衣1枚の姿を見られたくないから。
さて。
この宿には、それほど広くは無いけれど雰囲気のいい中庭がある。
小さな池もあって、その周りや小道の両脇は灯篭でライトアップされていた。
思った通り、人の気配はない。
「佐久間くん」
「ん」
差し出した手を、素直に握ってくれる。
指を絡めて恋人繋ぎにすると、はにかんだような笑顔をこちらに向けた。
「へへ」
「ん?どしたの?」
「いやー……夜だし、人が居ないとはいえさ……手ぇ繋いで外歩けるなんて、思ってなかったから」
「ああ……カメラ回ってる時は平気でしてるのにね。ライブ中とか」
「それなー。誰かに見られる方が出来るって、なんか変な感じ」
「ね?」
アイドルは人に見られるのが仕事。
俺たちが手を繋いだりハグしたりすると、ファンのみんなが喜んでくれるから。
……まさかほんとに付き合っているとは知らないんだから、これからは今までよりも少し気を引き締めないといけないかもしれない。
お互いにダダ漏れだと、いつかバレてしまうだろうから。
「……今、蓮が考えてること当ててやろうか」
「え?」
「今度から、ライブとかで俺とハグしたりすんの控えないとな〜って思ってた。……違う?」
「近いけど違う。気をつけておかないと、キスまでしちゃいそうだって思ってた」
「そっ……それはマズい」
「でしょ?言っとくけど、ハグも手を繋ぐのも控えないからね」
「おっ、俺だって控えませんけど!」
そんな話をしながら、のんびりと庭を散策する。
カラン、カラン、と下駄の音
池の鯉が跳ねる水の音
時折吹き抜ける風に木や草が揺れる音
佐久間くんがさっき言っていたように、まるで世界に2人だけのような気持ちになってくる。
都会の喧騒から離れた場所で、誰にも見咎められることもない。
「……帰りたくないな」
思わずこぼれた独り言に、佐久間くんが小さく笑った。
「俺も、ずっとこのままで居られればいいなって思うよ。でも……無理だもんな」
「うん。……明後日からまた、スケジュールパンパンだもんね」
「2人してサボったら、照と深澤に雷落とされそう」
「アハハ。Snow Manのパパとママ、怒ると怖いから」
「ん……だからさ、蓮」
繋いだ手を、軽く引かれる。
足を止めて佐久間くんを見ると、彼がそっと背伸びをして――
「また、2人で旅行しようよ。温泉でもいい、海外でも。この先いっぱい、時間はあるよ」
俺の耳元で、そう囁いた。
「……うん。また、2人で」
「約束な!」
とびっきり可愛い笑顔になった佐久間くんを、強く抱き締める。
この先いっぱい、時間はあるよ
それはこの先もずっと、俺と一緒に居てくれるということ。
「愛してるよ……大介」
「ちょ、もー……!それ、えっちの時だけって言ったじゃん!」
「2人きりだからいいでしょ?」
「うう……だから、照れるんだってば………………でも、俺も、愛してるよ……蓮」
優しい声で囁いた佐久間くんが、強く抱き締め返してくれる。
愛しい温もりを腕の中へ閉じ込めて、俺は柔らかな唇にキスを落とした。
*****
思いのほか長くなってしまいましたが、これにて温泉旅行完結です。
お付き合いくださりありがとうございました!
次はひとまずめめさくinカナダを完結に向けて再開させます。
短編集の方は……またネタを思いつけば何かしら……
シチュエーションのリクなどあればコメントくださいませ。
めめさくしか書けませんけども!(^^)
コメント
2件

ROYさん、完結おめでとうございます!温泉旅行編、最後まで本当に素敵でした…! 下の名前で呼び合うシーン、特に蓮が「大介」って呼んだ瞬間の佐久間くんの"ほわ"が可愛すぎて胸がきゅんとしました。二人だけの秘密の呼び方、すごく特別感があってドキドキしますね。夜の中庭で交わした「また旅行しよう」の約束も、未来への希望が溢れていて温かい気持ちになりました。最後の「愛してる」の掛け合いも、温泉の静けさと相まってとてもロマンチックでした。これからもお二人の幸せな日々が続きますように。素敵な作品をありがとうございました!