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「あんたさぁ……どんだけ感じやすいんだ? 根っからの淫乱じゃん」
仰向けになり、惚けた表情の優子を見下ろしながら、拓人は、口の周りに付いたメスの匂いが残る甘露を手で拭い、不敵な笑みを浮かばせた。
息を弾ませている優子が、気怠そうに身体を起こすと、男は顔をグイッと近付ける。
「…………戻ってきたら、また……あんたをたっぷり可愛がってやるよ」
拓人に、掠れた声音で囁かれ、彼女の心は小さく波紋が広がっていく。
「そろそろ支度しないと、時間に遅れるんじゃないか? エッチなランジェリーも買わなきゃならないんだし」
男が蔑んだ笑いを映しながら腰を上げると、ベッドルームから出ていった。
残された優子は、バスローブを羽織り、着替えを持ってバスルームに向かう。
リビングに差し掛かると、男はソファーにふんぞり返りながら、スマートフォンを触っていた。
「あれ、シャワー浴びていくの?」
彼女に気付いた拓人が、揶揄いながらククッと笑い捨てる。
顔を引きつらせた優子は、唇をキュッと引き結ぶと、男を軽く睨んだ。
拓人って男は、優子を苛立たせるのを楽しんでいるらしい。
「…………生々しい匂いが残ったまま、外出なんてしたくないからっ!」
優子は荒っぽくバスルームのドアを閉め、慌てて身体を清める。
身支度を整えて、ホテルを出発したのは、十時過ぎになってしまった。
ファストファッションブランドの下着しか持っていない優子は、散々考えた末、ショーツだけ穿き、ノーブラで、すぐ近くのデパートに駆け込んだ。
服装も、前日に購入したブラックのワンピースを、そのまま着ている。
同じ服を二日連続で着るなんて、逮捕前の優子から見れば、考えられない事だ。
だけど、出所時に持参した服は、くたびれた服ばかり。
彼女は胸元が目立たないように腕を組んでランジェリーを吟味し、ワンピースに合わせて、ブラックの総レースのキャミソール、ブラ、ショーツを購入。
店員にタグを全て取ってもらい、女性用のお手洗いに駆け込むと、すぐに下着を着け替える。
穿いていた安物のショーツは、購入したランジェリーブランドの小袋にしまい、ツーウェイの真っ赤なミニボストンバッグに、ショップ袋ごと押し込んだ。