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そして、あっという間に最終日。
最後にすまないは寄りたいところがあると、エウリ達を連れ、街の奥と進む。
ふと、何故か街中なのに、霧が濃くなっていく。段々とすまないとエウリと風音の姿が見えなくなっていき、次第に2人がその場に取り残された。
「えぇ・・・蓬莱、ちょっと僕のほっぺ引っ張ってくれない?もしかしたら夢で起きるかも?」
「分かったわ」
と、完全に魔法を撃つ気満々だった。
「魔法はお兄ちゃん死んじゃうからヤメテ・・・」
と、零す。すると、
『初めまして』
ふと、声が聞こえた。2人は振り向くとそこには2人の男女が立っていた。片方はとても美しい白髪に、金に近い黄色の優しげな瞳。もう片方は、黒い髪に、濃い青色の瞳。その男性は、英雄の服に身を包んでいた。
「・・・誰ですか?」
そう天満が聞くと、女性は柔らかく笑う。
『突然ごめんなさいね。少し、お話がしたくて』
「お話?」
そう聞くと、男性は口を開いた。
『すまない・・・いや、君たちの父、ミスターすまないはどんな人だ?』
そう聞かれ、2人はキョトンとしつつ、答えた。
「優しいよ?優しくて、強くて、かっこよくて、僕の憧れの父さんだよ!」
「同じく。私にとってもお父さんとお母さんは憧れで、優しい私たちの両親です」
そうこぼすと、2人は少し嬉しそうな、泣きそうな笑顔を見せた。
「そっか」
と、男性は天満と蓬莱の頭を撫でた。そして、
『──すまないをよろしくな』
そう男性が呟くように答えた。
✵✵✵✵✵
「天満?蓬莱?どうしたの?」
ふと、気がつくと目の前にはすまないやエウリ、風音が立っていた。
「・・・あ、あれ?」
「どうしたの?ぼぅとして」
「う、ううん?」
と、天満は首を横に振る。
(・・・え、さっきの、夢?)
(いや、夢にしてはリアル過ぎよ)
と、天満と蓬莱はコソコソと話していると、
「着いたよ」
と、すまないの声に、2人は顔を上げた。そこには、
──ふたつのお墓が置かれていた。
「「・・・お墓?」」
「師匠、このお墓って?」
そう風音が聞くと、すまないは答えた。
「・・・僕の、両親の墓だよ」
その答えに3人は目を丸くした。
「エウリは1回来たことあるよね。結婚の話をしに、今日は、娘達の話をしにここに来たんだ。」
と、すまないはお墓に花をお供えする。エウリも手を合わせた。蓬莱達も手を合わせる。
線香の煙がゆらゆらと空へと登っていく。
✵✵✵✵✵
「さて、そろそろ帰る準備しようか」
と、すまないは立ち上がり、両親の墓に背を向けた。すると、
ふと、誰かに頭を撫でられた気がした。
優しく、懐かしいと感じた。
すまないは振り返る。だが、そこには誰もいない。
「・・・父さん?」
そう天満は聞くと、すまないはしばらくそのお墓の方を眺めていたが、やがて、微笑み、天満達の元へと駆け寄った。
そのお墓に夫婦が寄り添うように、すまない達の背中を眺めていた。