テラーノベル
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―――翌朝
ダンダンッ
ドアを激しく叩く音が響く。
「おいおい、」
「こら、やめなさい」
「タカノリー!おーきーなーさーいー!」
孝典が飛び起きてドアを開ける。
「おっそいわね!」
「悪いな、タカノリ」
マートンが申し訳なさそうに、苦笑いしている。
「ごめんなさいねタカノリさん、買い物に行くって聞かなくて」
「フンっ…別に行きたくないならいいもん」
三人が視線を下ろす。
孝典は、パンツ一枚だった。
「へっ、変態!」
ガチャン!
ミリアが勢いよくドアを閉めた。
着替えが終わり、中央噴水でヴァールさんとトロイと合流した。
「おっすタカノリ、どうしたその傷?」
トロイが俺の額を見た
ミリアが俺を睨んでいる。
「フンっ….」
「あ…あはは」
「今日はタカノリさんの案内も兼ねて王国を回りましょう」
「賛成ー!」
ヴァールが話すとミリアが元気よく返事をした。
「まずは武器屋に行きますか」
三分ほど歩き、石畳の坂を登る途中で左側に、渋い外観の店があった。
「着きました。ここが王国一の鍛冶屋です」
「俺、ここのおやじさんよりスゲー鍛冶師見たことねぇな」
ヴァールさんとトロイの話を聞く限り相当な腕を持っているのだろう。
「お邪魔します」
店の奥では、黙々と作業をしている男がいた。
こちらに気付くと、手を止めゴーグルを外す。
「その声は、ヴァールか」
「おはようございます。ドグラスさん」
「おっす、おやじさん」
「また腕を上げたなお前ら。…..で、お前もな、マートン」
マートンが、少し気まずさを含んだ表情で答える。
「あぁ….親父」
「え、おやじ!?」
「あー、言ってなかったですね。ドグラスさんはマートンのお父上なんです」
「おめぇ、盾見せろ」
マートンが暗い表情で、背負っていた盾をドグラスに渡した。
ドグラスは盾を見て一言呟いた。
「…….まだまだだな」
「え、でもマートンはS級ですよ?」
俺はマートンの凄さを知っているから、口を挟んでしまった。
「お前、新入りか?」
「いえ、一ヶ月間うちで同行してもらうタカノリさんです」
ヴァールがタカノリを紹介した。
「そうか、いいかタカノリ。S級なんてのはただの指標だ。」
ドグラスは盾を眺めながら続けた。
「その中でも戦い方が洗練されているやつもいれば、雑なやつもいる。」
「なるほど、」
「俺の息子にゃ、まだまだ足りないもんが山ほどある。それが武器を見りゃ一目瞭然なんだよ」
ドグラスは盾を孝典に向けた。
「見てみろ、傷が少なすぎる」
「え、大事に使ってるってことじゃ、」
「俺の盾はな、正面はもちろん、枠の部分まで丈夫に作ってある。…..マートン、お前スキルを毎回発動させてやがるな?」
「あぁ…」
「….俺の言った、強い奴らは武器に傷を作らねぇってのはそういうことじゃねぇ」
マートンが苦虫をすり潰したような顔をしている。
いつも優しい顔ばかりで、初めて見る顔だった。
「S級って肩書きに胡座かいてんじゃねぇぞ。受ける、押し出す、切る、刺すを毎日鍛錬しろって言っただろうが。そんなんでスキルを封じてくる相手が出てきた時に、どう立ち回るつもりだ?」
ドグラスはヴァールの方を向いた。
「ヴァール、一日こいつ借りてくぜ」
「分かりました」
俺たちは武器屋を出た。
「いいんですか?」
「あの人に任せるのが一番いい」
「なんでアンタが暗い顔してんのよ」
ミリアが俺の背中を強く叩いてきた。
「いっ…!」
「マートンはすごいんだから」
「そうだね、僕らは買い物に行こうか」
「やったー!」
ヴァールの言葉にトロイとミリアが喜ぶ
するとトロイがバランスを崩しローブを纏った者にぶつかった
「おっとと!悪いな」
「…….」
その者は、何事も無かったように去っていった。
「なんだぁ?」
ヴァールが、去っていく背中をじっと見つめた。
「ヴァールさん?」
「いや、なんでもないです」
俺たちは屋台に立ち寄った
香ばしい香りや、甘い香りが漂っていて、色々な店が並んでいた。
「わぁ!美味しそう!」
ミリアはひとりで遠くまで行ってしまった。
「はぁ、ミリアったら」
メレアがミリアを追いかけた。
「俺達も行こうぜ!」
「串焼きはどうでしょう?」
「いいですね」
「すみません三本ください」
「はいよー」
俺たち三人は串焼きを買うことにした。
牛の赤身だろうか、ジューっと音をたてながら、脂が滴り落ちている。
そして店主が、自家製のタレにくぐらせた。
ゴクッ…
俺たちはあまりに美味しそうで、同時に唾を飲み込んだ。
「へいお待ち!」
湯気が立ち上り、タレの芳醇な香りに3人は我慢できずかぶりついた。
「〝うまい!〟」
普段は品行方正なヴァールさんが、口の周りにタレをつけて夢中で食べている。その姿はまるで、少年のようだった。
「あはは、口に付いてますよ」
ヴァールさんは恥ずかしそうにハンカチで拭った。
「ふぅ〜、美味かった美味かった」
「ミリア達はどこでしょう」
俺たちは辺りを見渡した、するとお菓子屋の前に人だかりが出来ている。
「なんだ?」
気になり人混みをかき分けて行くと、大食い大会が開かれていた。
そして、その中心にいたのは――
「あ!皆見てー、優勝した!」
ミリアはこちらに気付き手を振った。
俺達三人は、開いた口が塞がらなかった。
「〝なにやってんのアイツ…!〟」
ミリアは大食いだった
(つづく)
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《ステータス》
・三田 孝典 (みた たかのり)
・レベル2
・F級冒険者
・【固有職業:きのこマスター】
・【一般級:霧吹き】
【一般級:ゴム手袋(薄手・ピンク)】
・【ウィンドウ】【マップ:レベル1】
【会話:レベル1】
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最後まで読んで頂きありがとうございます!
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〝ドグラスの稽古、マートンは鋭い眼光に耐えれるのか!〟
次回お楽しみに!
(*・ω・)*_ _)ペコリ
コメント
1件
リーさん、第7話読ませていただきました! マートンがお父さんのドグラスさんに「S級はただの指標」ってバッサリ言われてるシーン、すごく印象的でした…あれは彼にとって大きな成長のきっかけになりそうですね。串焼きを夢中で食べるヴァールさんの少年っぽい姿も可愛くて、キャラの新たな一面が見えて嬉しかったです。 そしてラストのミリアの大食い、意表を突かれました(笑)!つい笑っちゃいました。次回のドグラスさんの稽古、どうなるのか気になります🌷
花月夜れん
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