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第8話「灰素処理場の叫び」
📷 シーン1:焦げた空と、沈黙の施設
星峰特区の外れ、廃墟のような山岳地帯に、不気味に沈黙する巨大施設があった。
標識には消えかけた文字で「碧族調整収容施設7-B」。その先にあるのは、ナヴィスが恐れていた「灰素処理場」だった。
ナヴィスは遮光ゴーグルを額に上げ、黒と銀の迷彩スーツの裾を風になびかせながらギアを見た。
「ここだ。すずか、内部の構造は?」
ヘッドセットから、少女のような落ち着いたAIの声が響く。
すずかAI「確認完了。処理場内部に碧族の反応が12件。だが、生命反応はわずか3体。ほかは……残滓だと思われる」
ナヴィスは唇を引き結ぶ。
「間に合えばいいが……」
📷 シーン2:突入前、ゼインの構え
ゼインは黒い戦闘ジャケットの前を閉め、銀色のパイピングが光る腕のフラクタル装置に触れる。
鋭い眼光と無造作に落ちる前髪。背中に収めた碧色のブレードを少し引き抜くと、薄く光が走った。
「どうせ待ってても腐るだけだ。行くぞ」
ギアがスリムなリュックから金属の球体を取り出し、展開。
ドローンが展開され、静かに滑空していく。
「EMP拡散。これで中のセンサーは3分は無効。お前ら、好きに暴れてこいよ」
ゼインがニヤリと笑う。
「じゃあ遠慮なく」
📷 シーン3:廃棄場の激戦
中に入った瞬間、腐臭と金属の焦げた臭いが鼻を突いた。床には粉のような“灰”が積もっている。
すずかAI「警告。この灰は碧素の成れの果て。長時間の接触は避けて」
その時、金属の扉が開き、赫共産部隊の兵士たちが現れた。
黒と赤の装甲に身を包んだ兵士が、腕の装置を展開する。
「対象捕獲。制圧する」
ゼインが一歩前に出た。
「——来るぞ」
赫兵のフラクタルが展開する。《パルス・ブレイカー》。
碧族のエネルギー波を打ち消す特殊な干渉波だ。
ゼインの目が光る。
「……だったら力でねじ伏せる」
《オーバーライド》
空間に赤いフラクタル陣が現れ、相手のフラクタル干渉を逆流させる。赫兵の腕の装置が爆ぜ、兵士が吹き飛ばされた。
ナヴィスはすぐに援護へ。《リバースバリア》で背後からの銃撃を反射し、さらに《フォールトシフト》で瞬間移動、敵兵の懐に飛び込む。
「——一手遅ぇよ」
ナヴィスの手には短剣型のフラクタル武器。その刃が赫兵の装甲を割り、沈黙させた。
📷 シーン4:叫びと灰の記憶
戦闘が終わった後、施設の奥でナヴィスは一人の少年碧族を見つけた。
痩せ細った体、顔に浮かぶ碧の紋様は不安定で、碧素の輝きも弱い。
「……た、助けて……」
ギアが即座に装備を下ろし、検査装置を展開。
「こいつ、碧素が不安定すぎる。処理対象にされる前だったな。今しかない」
ナヴィスは少年を抱え上げ、静かに言った。
「すずか、脱出口は?」
すずかAI「北東廊下の先、1分以内に脱出可能なエアロックあり。ギア、碧いドア使用を推奨」
ギアは歯を鳴らしながら、碧い装置を取り出した。
「5分が限界だ。急げよ」
青い光が空間に扉を生み出す。
ナヴィスは少年を背負ったまま、灰の海を駆け抜ける。
ゼインが殿を務め、迫る増援に目を細めた。
「来いよ。……遊び相手には、ちょうどいい」
——救出作戦は、始まったばかりだった。