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翌朝、ドアのノックが部屋に響いた。
「マリー、起きていたら返事をしてくれないか。」
「はい。」
父の声が聴こえ、私は返事をした。怒られてしまうのかと思っていた時、父がふふっと笑っていった。
「よかった。起きれたんだな。」
「え…?」
私はぽかんとした表情でドアを見つめた。父の表情は見えないが、微笑んでいる父が頭に浮かんだ。
「マリー、行きたくないなら行きたくないでいいんだ。」
父は優しい口調で続けて言った。
「マリーは、ずる休みするような人間じゃないだろう。だから、疲れが取れるまで、しっかり休んで、そして、行けるようになったら、また鞄を背負って登校しよう。」
私は父の言葉を聞いて、ほろほろと涙がこぼれた。
「…もし、もしマリーが悩んでいたら、いつでも相談に乗るからな。」
父はそう言って、ドアから離れた。私は身体を丸くして涙を流した。私の心が少し軽くなった気がした。夕方、家のベルがなった。私はしぶしぶベッドから起き上がり、玄関に向かった。
「はい。誰です」
ドアを開けると、そこには、○○が立っていた。
「ま、マリー様っ!」
(あれ、誰だっけ。見たことある。見たことあるはずなのに名前が出てこない…。)
私はただその人を見ているだけだった。なにも言葉を発さず、ただその人を見ていた。
「あ、あの、なにかご用ですか?」
「マリー様に会いに来たんです。」
とりあえずその人を家の椅子に座らせた。怪しい人ではないと思ったからだ。
「あの、私がなにか悪いことでもしたのですか?」
「いえ、マリー様はなにも悪いことなどしていませんよ。ただ、マリー様にとってとてもいいニュースを伝えに来たのです。」
その人はにこにこと笑いながら私を見つめた。そのとき、その人の首にある傷に目がいく。
「あら、貴方、首の傷はどうしたのですか?」
「え、覚えてないのですか?マリー様。」
私は首を傾げる。
「あの時、マリー様が私を止めてくれたじゃないですか。マリー様が私の名前を呼んで。」
その言葉を聞いたとき、突然頭痛がした。その時、記憶がぱっと蘇った。
「…あ、貴方…、パーソン…様?」
「え、えぇ、そうですよ。誰だと思ってたんですか?」
目の前にいるその人がパーソンだと知ると、私は涙をぼろぼろと流した。
「そ、そうだ。貴方、パーソン様よねっ。」
「と、突然どうしたのですかマリー様っっ!!」
私は涙を流しながら笑った。きっと、彼女が生きていてよかったと思ったからでてきてしまったのだろう。私は目を擦り、パーソンに抱きついた。
「パーソンっ、パーソン様だわっ…。」
パーソンも涙を流す。
「そうですよ。私がパーソンですよ。」
お互いに抱きついた。
ー続くー
ご視聴いただきありがとうございました。