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「二日間もよく頑張ったな。もう安心して、一緒に安全な場所へ行こう」
「ありがとうお兄さん!」
そして直哉と陸《りく》と大和《やまと》はコンビニを後にした。
目指す場所は市民病院。ここから一番近い人が避難してそうな場所だ。道中は気配を感知しながら進む。あれから感覚が研ぎ澄まされたような感じがして、直樹はより異世界の存在に敏感になっていた。
「……よりによってモンスターが多いな」
市民病院はすぐ目の前。しかしその周辺にはモンスターや異世界人が集まっていた。
「何かでおびき寄せるか?」
しかしおびき寄せれそうなものは何もない。そもそもこの病院の中に人が居るかどうかがわからない。ここが本当に安全がどうか、確かめる事が必要だ。
「走って一気に入り込めば良いんだよ。そしたらモンスターにも捕まらない」
「バカ、駄目に決まってるだろ。まずは様子を見て……」
突然ガン、と鐘のような音が鳴った。一度聞いたことがある音だ。
「……静かに!」
「……っ!」
近づいてはいないが、明らかに他の存在よりも危険な気配が感知できる。
「静かに、一旦離れるぞ」
二人は声を出さずに頷いて返事をした。
病院周辺を歩いて移動する。国道が見えるが、車は一台も通っていない。
「建物の中に行こう。この状況じゃ何もできない」
ガン、とまた背後から音が鳴る。近づいてきているのか離れているのか分からない。見えない脅威による圧迫感が迫り続ける。
なんとか逃れようと路地裏に入る。しかしその先は行き止まりだった。
「行き止まり……!戻って!」
急いで戻らないと逃げ場がないこの道で鉢合わせになる。それは絶対避けなければならない。
なんとか元の道に戻り周囲を警戒する。気配は感知できない、音も聞こえなない。
直樹は気配が無くなって安心しきっていた。しかし、自身の感覚を過信してもっと視界から得る情報に目を向けていなかった。
「お兄さん後ろ!!」
「えっ?」
振り返ると炎が飛んできていた。咄嗟《とっさ》の判断で間一髪横に飛び避け、放射熱が体を焼き付ける。直樹は地面に倒れた。
「ぐ…っ!しまった!?」
二人をかばわずに避けてしまったことに気づく。しかし、二人は直樹より早く炎に気づいていたので難なく攻撃を避けていた。
(なにをやってるんだ俺は……!俺が守らなきゃいけないのに!)
炎が飛んできた方向には杖を持った女性の魔法使いらしき異世界人が立っていた。
直樹は二人を連れて一目散に逃げ出した。
魔法使いもその後を追って走る。
(気づかなかった……!いつの間にこんな近くに!どうなってる!?)
最初に異世界人に襲われた時や黒い騎士が現れた時に感じた悪寒や耳鳴り、皮膚が冷たくなる感覚、視界の端の歪みなど、この独特な影響を直樹は異世界の存在を感知していると考えた。だが、今の魔法使いの時には一切感じられなかった。
魔法使いは気配を消していたのだ。奇襲を仕掛けるなら気配を消すのは当たり前。しかし、戦闘経験もセンスもない直樹にはその事に気づかなかった。
異世界の存在を感知できるという唯一の取り柄を破られた直樹はパニックになっていた。
(どうする、あいつに感知は効かない…!
この力は頼りにならない!対抗する手段が無くなった、どうすればいい……!?)
さっきの炎の温覚が直樹の体は忘れられず、熱に焼かれる恐怖で頭がいっぱいった。
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