裕斗が乗る飛行機が飛び立つ2時間も前に空港に到着したのは「少し話をしよう」という裕斗の言葉があったからだ。
「見送り、来てくれてありがとうな」
空港内のラウンジで2人分のコーヒーを持ってきた裕斗は、ひとつを私の前に置いてから正面のソファへと座った。
「行くって約束したでしょ」
裕斗にお礼を言って一口飲んでみると、シュガーは入っていないミルクコーヒーで、私の好みの味に作られていることに気が付いた。
付き合っていた時もこうしてコーヒーを淹れてくれたことと同時に、逆に裕斗はミルクは入れないでお砂糖1個を入れたコーヒーが好きな事を思い出し、もうずいぶん昔にも思える過去に浸る。
「話って、なんの話?」
「いや、いつ帰って来れるかもわからねぇから顔が見たかったんだ」
「そっか」
「癪だが、アイツとのノロケ話でも聞いてやろうって思ってたんだが……その顔は上手くい*************************
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