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「あ…………ありが……とう」


顔を背けながら、女は、バツが悪そうにポツリとお礼を零した。


(へぇ。可愛いところ、あるじゃん……)


「とりあえず、晩メシにしよう」


拓人は、女の細い手首を掴むと、デパートから、ほど近いホテルへ目指そうとしている。


「ちょっと待って! 私、コインロッカーに荷物を預けたままなんだけどっ!」


「…………ったく。世話の焼ける女だな」


拓人は女の手を引きながら、駅のコインロッカーに寄った後、今日から住み始めたホテルへと足を向けた。




開放的な空間が広がる高級ホテル。


天井には木目調の梁が複雑に組み込まれ、柔らかな間接照明が、広いロビーを優しく包んでいた。


癒しを感じさせる空間を、二人は通り過ぎていく。


途中、ベルボーイを見つけた拓人は、女のボストンバッグを部屋に運んでおくように事付けして手渡し、エレベーターへ向かった。


「レストランでメシもいいなと思ったんだけどさ、あんたのような綺麗な女と一緒にいるなら、バーでお酒を飲むのがいいかなって思ったんだけど、いいだろ?」


何か言いたげに、拓人を軽く睨む女に、彼は悩殺しそうな微笑みを浮かべる。


「別にいいけど。お酒は、どちらかというと好きな方だし」


鉄の箱の中でも、変わらずツンとした女を見やりながら、やれやれ、と拓人は苦笑した。


(まぁアレだ。バーで酒を飲むのは、俺にとっては前フリのようなモンだし……)


エレベーターが最上階へ到着し、拓人は、降りて目の前にあるスカイラウンジへと足を運ぶ。


「ここ…………」


隣にいる女が、ポツリと零しながらポカンとした表情を映し出している。


「何? 昔の男と来たとか?」


「違うわよっ」


「じゃあ何?」


「……ここ…………前から……来てみたかった……ん……だよ…………ね……」


気の強さを見せていた女が一変すると、顔をほんのり染めながら、尻窄みに言葉を繋いでいく。


「なら良かった。じゃあさっそく入るか」


拓人は、女の背中を押しながら、ラウンジに入るように促すと、スタッフに窓側の席を案内される。


全面ガラス張りの窓に映る夜景は、予想以上に美しく、落ち着いた雰囲気の店内は、黒を基調としたモダンな内装で、大人の男女が静かに過ごすには丁度いい。


拓人は女をエスコートし、テーブル席へ着くように促した。

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