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昼ごはんをルツと食べていた。すると部屋にあの女が入ってきて、ルツに呼びかける。相変わらずの猫撫で声だ。苦手、いや嫌いだ。どうも社長がルツを呼んでいるらしい。社長、あの上っ面だけの偽善者か。拾ってもらった恩はあるが、たまたま拾った事がどうも気になる。

ルツが立ち上がったので、立ち上がったら座らせられた。一緒にいかせてはくれないらしい。

ルツの背中を見て何か言おうと口を開いたが、喉の中の黒い紐がキュッと締められて声が出なかった。

ルツが部屋から出ていくと一瞬で空気がかわり、冷たく重い空気が体を押し潰した。部屋に残された二人は少しの間沈黙を眺めていたが、やがて破られた。

「シクロロ君、、、。」

「・・・」

ドアノブに手を掛けるシクロロをルーニオが引き止めた。まるで部屋から出てほしくなさそうに。

「社長が呼んだのはカルツェル君だけよ。」

耳に入っていない、いや入れないようにしてシクロロがドアノブを捻る。カチャッと音がする前にルーニオが止めた。

「シクロロ君っ!」

ルーニオの手がシクロロの手を握った。と思えばルーニオの手は既に空に浮いていた。動きの後を追うように音が鳴る。

バシッ

「あ、、ごっごめ、」

ルーニオの顔から血の気が消えていった。弾かれた手をサッと戻す。

目の前には小さい青年。黒髪の一つ結びと長い前髪から覗く眼は、黒と紅の混ざった色。ルーニオの身体がカタカタと震えた。自分よりも小さく華奢な存在から立っていられないような殺気を感じた。

まるで黒い猛獣から狙われる野うさぎだった。声を上げようものなら喉を噛みちぎられそうだ。そんな空気をシクロロ本人が破る。

「何?」

その一言にさえ、殺気がこもっている。振り返らずにここまでの殺気を感じさせるシクロロをルーニオは人間とは思えなかった。

息ができないながらも振り絞り声を上げる。

「っあの、ね。シッシクロロ、君。もう、そろそろ限界、なのよ。」

一度声を出すと止められず、早口になる。

「カルツェル君は、いいわ。でも、貴方は、違う。私達に、まだ警戒してる。拾ってくれた社長までも!どうして?行き場のない貴方達を拾って仕事まで与えてるの。何処が不満なの?」

黙って壁を睨んでいたシクロロが振り返ることなく口を開いた。

「どうして?ハハハッ!!・・・お前馬鹿?

拾ってくれた?仕事まで与えた?何様だよ。俺が警戒してるって?当たり前だろ。お前らは嘘ばっかりだ、全部、全部嘘。嘘嘘嘘嘘嘘嘘。そんな奴らをなんで信用しなくちゃいけねーんだよ。」

ルーニオの身体が強張る。

「うっ嘘なんてついてないわ!貴方こそ嘘つきじゃない!カルツェル君の前では嘘ばっか!」

その言葉を発した瞬間。ルーニオは口をおさえた。まずい。全身の毛が逆立つのを感じた。が、遅かった。

ルーニオが目を開けると真っ白な灯りを放つ照明が見えた。肩が熱い。そこでやっと自分が倒れていることに気づいた。

「ひっっっ!」

痛みを忘れるほどの恐怖がそこにいた。直視すれば気絶してしまうような存在から睨みつけられ、ルーニオは殺気に磔にされた。

信じられないような低く、重い声が更に恐怖を倍増させた。

「今なんつった?」

左半身が熱かった。まるで、、、燃えているようだった。熱い。痛い。火。火?

ああ、そうか。先生。大丈夫。俺ちゃんと守るよ。約束。先生、俺。

左手を振り上げる。こいつには容赦しない。いっそ今ここで、

「ロロ!!」

身体がぐらついた。左半身がサアッと冷たくなる。受け身をとれず、派手な音を立てて倒れた。ルツ。どこからどこまで聞いていた?まずいな、どうしよう。このままではダメだ。この女が被害者ぶりだす。

「ロロ!ダメ!!」

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超面白いです!!

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