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「カルツェル君、おはよう。」

部屋を出ると嫌な声が聞こえた。朝っぱらから最悪だ。それなのにルツはなんだか笑顔になる。こんな奴がいいのか。

「おはようございますっ!ルーニオさん」

白いブラウスにカーディガン、ロングスカート、焦茶色の長い髪、いかにもだな。口元のほくろがまた最悪。苦手だ。

どうにも受け付けない。それ以前にまず信用できない。俺達はもう2人しかいないんだ。俺がルツを守らないと、だって、俺は、

突然ゲンコツが飛んできた。

「イッッッタア!!!」

全然痛くないけど、

「あ、い、さ、つ!!」

「・・・おはよう・・・ございます。」

なんだ、俺にもしたのかよ。聞こえなかった。それよりも、ルツから怒ってる雰囲気が出ていたのでそれだけが嫌だった。ルツには笑っていてほしい。

「大丈夫?ごめん、痛かった?」

相変わらずルツは優しいな、優しすぎるよ。

「・・・う。」

「もう怒ってないよ。」

いつもの優しい声が聞こえた。この声がずっとずっと濁らなければいいな、誤魔化しじゃなくてルツが本当に、心の底からそう出来るようになって欲しい。これからもずっと。

「今日はしっかり働いてね?ロロ、昨日サボったでしょ。」

昨日は、あいつらが急に電話寄越したから、、、でもこれは言えない。ルツには知られちゃいけない。あいつらは俺の切り札、言わば駒だ。だからこそ、今はあいつらを守らなくてはいけない。その時が来るまで。

「分かってるって〜」

俺がルツを守らないと。俺が今ここにいる意味を、理由を、、、約束を果たすために。

外は晴れだった。いつも通りの街、人、異常はないか?誰も信用できない。ルツが平和に暮らせるように、今日も頑張らなくては。

隣の宝物に気づかれないように小さく息を吐いた。

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