第4話:碧の裏に咲くもの(最終話)
🔥 シーン1:最後の杭打ち
夕刻、太陽が赤く沈み始めた頃。処理後チームは旧市街最後の“旋風痕”に到達していた。
崩れた交差点跡。瓦礫の中に、ねじれた杭の残骸が突き刺さっている。
「……前の杭、暴走で歪んだっぺな」 ギョウがスキャナーを構え、波形を確認する。
「感情波、まだうっすら残ってる。けど、今ならいける」
「なら、やるしかねぇっぺな!」
ゴウが胸のバックルを外し、重機義手を解放する。褐色の肌が夕日に染まり、その姿はまるで戦士のようだった。
「処理後、最終杭、任せろやあああああっ!!」
ゴウの咆哮が瓦礫に響く。 杭を背負い、足元を踏みしめながら進む。
🛠️ シーン2:杭の一撃
ゴウの足元に、キョウが補助杭を静かに設置。 ギョウが共鳴範囲を再調整しながら囁く。
「杭の“怒り”に合わせて打て。“力”で貫いてやれ」
ゴウが笑う。 「言われんでも、わかってっぺ!」
杭を構え、助走をつけ――
ドガァァァァン!!
杭が深く突き刺さった瞬間、青い光が走り、街の裏路が光脈のように震えた。
地が応えるように、残留していたフラクタル痕が静かに粒子となって消えていく。
すずかAIの声が流れる。
「感情波、消失。杭との共鳴率97%。
この区域、完全処理完了と認定します」
🌱 シーン3:裏に咲いたもの
「終わったっぺな……」 ゴウが腰を下ろし、杭を見上げる。
キョウは静かに杭の根本に小さな草花を植える。 ギョウがぼそりと言った。
「“陰の仕事”って、報われないと思ってた。でも……今の街は、俺たちの杭の上に立ってる」
すずかAIがそっと囁くように告げる。
「あなたたちが処理した地に、新しい都市の命が芽吹いています。
あなたたちの杭が、この街の“裏”を支えています」
ゴウがニヤリと笑った。 「それで充分っぺ。街の下に、うちらが咲いた。それでいいっぺよ」
杭は見えなくても、そこに咲く“都市の命”は確かに根を張る。
処理後という名の裏仕事が、静かに、強く、街を支えていた。
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