買い物を終えて街を歩いていると、朔也が言った。
「今度は美宇の買い物に行こうか」
「え?」
「何か欲しいものはない?」
突然の言葉に美宇は驚いた。
だが、明日着る服は持ってきているので、これといって特に欲しいものはない。
「特にないけど」
そう答えると、朔也が急に立ち止まった。
美宇が不思議に思い朔也の方を見ると、彼は彼女をじっと見つめながら言った。
「欲しいものがないなら、アレにしようか」
「アレ?」
「うん。僕が美宇に贈りたいアレだよ」
朔也は少し照れながら言ったが、美宇には何のことか分からない。
「アレって何?」
「分からない?」
「うん」
「じゃあ言うね。アレっていうのは、婚約指輪のことだよ」
「…………」
美宇は驚きのあまり言葉を失った。
「婚約……指輪?」
「そう。美宇、僕と結婚してくれないか?」
「!」
突然のプロポーズに、美宇の頭は真っ白になった。
「美宇?」
「ほ……本気で言ってるの?」
「もちろん本気だよ」
「でも私たち、まだ付き合い始めたばかりよ」
「期間なんて関係ないさ。僕は美宇と結婚したいんだ」
「でも……」
「僕のこと嫌い?」
「嫌いなわけないじゃない! でも、急すぎて驚いてるの」
「付き合うとき、結婚を前提にって言ったろ? 僕は美宇とずっと一緒にいたい。だから、僕のお嫁さんになってほしい」
朔也は美宇の手を握り、もう一度真剣に言った。
「もう一度言うよ。美宇、結婚しよう」
朔也の口からあふれ出る夢のような言葉に、美宇は戸惑った。
しかし、戸惑いつつも嬉しかった。
愛する人に何度も懇願され、断る理由など見つからない。
なぜなら彼女もまた、朔也とずっと一緒にいたいと思っていたからだ。
美宇は緊張のあまり唾をごくりと飲み込み、心配そうに見つめる朔也へ返事をした。
「私も朔也さんのお嫁さんになりたいです。よろしくお願いします」
その言葉に、朔也は大きく頷き、「よしっ」と安堵の声をあげた。
そして、美宇を強く抱きしめた。
「大事にするって約束するよ……一生大切にするから……」
「うん。私も……」
二人は一度体を離し、互いを見つめ合った。
そして、どちらからともなく引き寄せられるように唇を重ねた。
二人に気づいた海外からの旅行客が指笛を鳴らすと、周囲から拍手が起こった。
雪の降り始めた街角で、二人は見知らぬ人々に祝福される。
長いキスが終わると、二人は笑顔で見つめ合った。
そして、微笑む人々の間を、手をつないで歩き出した。
その後、二人はカフェに入り、コーヒーを飲みながら婚約指輪を買う店について相談した。
検索にかけたショップの中に、美宇が気に入った店が見つかったので、すぐにそこへ向かった。
その店は手作りのオリジナルジュエリーを扱っており、美宇が目を留めたのは、プラチナの流線型の枠に大小のダイヤをあしらった流れ星のデザインの指輪だった。
美宇はその指輪に一目ぼれした。
幸いサイズがぴったりのものがあり、その日持ち帰ることになった。
会計を終えると、朔也が指輪を美宇の薬指にはめてくれた。
その瞬間、店のスタッフたちから拍手が送られる。
きらめくダイヤの重みを感じながら、美宇は本当に婚約したのだと実感した。
「素敵な指輪をありがとう。一生大切にします」
「うん。気に入ったのが見つかって良かったね」
二人はスタッフに見送られながら店を後にした。
手をつないで歩きながら、美宇は朔也に尋ねた。
「個展のときもつけてていいの?」
「もちろん。君をフィアンセとして紹介するつもりだからね」
「なんか恥ずかしい……」
「恥ずかしがることなんかないさ。美宇は堂々としていればいいんだ」
「うん……」
美宇は少し戸惑いながらも、婚約の喜びで胸がいっぱいだった。
その後、二人は街角のおしゃれなフレンチレストランで夕食をとった。
食事の間、美宇は何度も嬉しそうに指輪を眺めていた。
そんな彼女を、朔也が愛おしげに見つめていた。
この先、どんなことがあってもこの人から離れない……美宇はそう思った。
一方、朔也も美宇を大切にすると心に誓った。
守るべき存在ができたことで、彼はやる気に満ちていた。
愛しい人の存在が、これほどまでに力を与えてくれるのかと驚いていた。
美味しい食事と楽しい会話で最高の時間を過ごした二人は、店を出てホテルへ戻った。
部屋に入ると、自然に惹かれ合うように体を重ねた。
朔也の情熱はこれまで以上に激しく、美宇も必死に答えようとした。
最高の夜を過ごした二人は、そのまま同時に眠りについた。
窓の外には、大粒の雪がちらついている。
ベッドの上で体を寄せ合った二人は、満ち足りた気持ちで静かに眠りに落ちていった。
コメント
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街中での突然のプロポーズ❣️しっかり二人の世界でしたね🩷🩷🩷 情熱的な朔也様らしい❣️ 婚約指輪も流星をイメージしていた物でジャストサイズがあるなんて 結ばれるべき二人なんですね🩷 それに個展の前のプロポーズも 個展に誰が来ても二人の仲を壊せない‼️との無言の主張にもなるし これで明日誰が来てももう大丈夫です

朔也さんはご両親と同じく溺愛するタイプのようですね!

朔さんの情熱がMAX過ぎて、ドキドキが止まりません💓朔さん美宇ちゃん、二人が幸せすぎて嬉しいです☺️明日は個展の大成功&フィアンセの紹介に大賑わいの一日になりそうで楽しみ🥰