「小娘は赤の女帝を知ってるか?」
赤の女帝…?
そんなの聞いたことないし…
てかこの世界のこと何も知らないし…!
「知らないです」
「使えないな」
「…すいません」
怒りをグッと押さえ込んで拳をぎゅっと
握りしめる。
本当腹立つ人…
「ここから真っ直ぐ奥に進んだ場所に真っ赤な地がある」
「真っ赤な地って血液のことですか?」
「…馬鹿なのか?」
一瞬間が空いたと思えばそんなことを言われる。
だってそれにしか聞こえなかったんだもん。
「まぁいい」
「ここは寒いが赤の地は少し寒い」
「しかも、まだ植物は生きている」
多分こっち側は冬だけど、
赤の地側は秋って感じなのかな…
だから冬のここは植物が枯れちゃってるけど、
あっちは秋だから紅葉とか落ち葉があるみたいな…
そう考察していると
「小娘、ちゃんと聞け」
そう言いながらペチンと私の額を叩く。
「いたっ..!!」
「ちょっと!!」
「何するんですか!!」
ぷつりと堪忍袋の緒が切れて声を荒らげる。
が、
「話を聞かない小娘が悪い」
そう言われ、争いはすぐさま終わってしまった。
どちらかと言うと『終わりにされてしまった』の方が正しい。
「小娘、報酬は何が良い?」
「名前を変えたいです…」
そう小さく呟くと
「名前?」
「なんでだ?」
と問われる。
「男っぽい名前が嫌だからですよ!!」
食い気味にそう答えると
「余は今のままでも十分だと思うけどな」
と呟く。
顔が良いせいか、謎にキュンとしてしまう。
「まぁ小娘がそう望むなら別にどうでもいいが…」
やっぱり訂正。
訂正訂正!!
『別にどうでもいい』ってなんなのさ!!
ほんとムカつく人…
「それで、寒珋…様の条件は何?」
「寒珋」
「は?」
「呼び捨てにしろ」
「分かったよ!!」
ほんとイライラする…
「条件はそうだな…」
「さっき言った女帝を殺してくれ」
「え?」
「人殺し…?」
「そうだ」
そんなの無理に決まってる。
絶対なんかあった時、
全部私のせいにする未来が見えるし…
「無理です…」
「じゃあ報酬の件も無しだな」
「待ってくださ───」
その時、魚のような何かがどこからか泳いできた。
紫色の魚が。
「これは…?」
「金魚だろ」
「どう見ても」
そう言うがとても金魚には見えない。
どちらかと言うと鯉のような…
コメント
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『夕焼けを泳ぐのは「紅葉」のような「魚」だった』から来ました。同じ世界線でしょうか、どっちも描写と世界観がとても綺麗で引き込まれました好きです!続き楽しみにしています💕