🔪リヒト、動かない肉
薄明かりのアパート室内。
床に崩れ落ちたリヒトは、自らの焼けた皮膚の上にタオルをかけていた。
口元にうっすら笑みを残し、
瞳は閉じられ、微熱の残る肌がまだ息をしていた。
周囲には血の匂い、焼けた脂、薬品――
そして、“生きたまま冷蔵された死の気配”。
🔪スケアリーの実況「生冷保存、魂の密封」
「ひひひ……ひひひひひひっッッ!!!」
スケアリーが冷蔵庫の中に頭を突っ込んだまま狂笑。
「これこれこれこれこれ!!!!
**“加熱済みの肉”をそのまま冷やして“保存”しようとするやつ!!!!」」
「しかも! 保存するのは“肉体”じゃなくて、
**“焼き尽くされた魂の余韻”!!!!!」」
「うまぁあああ……この後味……
焦げ目と涙と、“誰にも届かなかった愛”が、
ピタッと密閉されたこの密室空間!!!!」
🔪ユリウス、そっと室内へ
ドアが静かに開く。
ユリウスが足を踏み入れた。
リヒトの横に膝をつき、
彼の呼吸を確かめ――目を伏せる。
「生きてはいる。
でも、“調理”はもう終わった。」
「こいつは、自分の中に“永遠の晩餐”を作りたかったんだな。」
🔪リヒトの最後の一言(微睡の中)
「ユリウスくん……
ねぇ、これって……
“冷めても、美味しいかな……”」
かすれた声。
まるで料理の仕上がりを心配するシェフのようだった。
ユリウスは静かに頷く。
「……ああ。
きっと“誰にも真似できない一皿”だったよ。」
🔪スケアリーの食レポ「保存された感情のテリーヌ」
「ッふひひ……ふふふふふふ……」
スケアリーが冷蔵庫から取り出した、
リヒトの焼痕入りのシャツをナプキンにして口を拭う。
「これはもう……
“食べたら泣く味”だったよ……」
「熱々じゃない、ぬるくもない、
**でも“最後の温度”がちゃんと心臓に届く料理”。」
「リヒト、お前はな……
“完全に味が閉じ込められた一皿”だったんだよ……」
🔪ラストカット:真空パックされた“自己”
机の上に置かれた、
リヒトが自ら密封したメモリーレコーダー。
中には、毎日の“調理記録”と、“感覚の断片”が吹き込まれていた。
それはもう、
“誰にも食べられない料理”だった。
次回 → 第三十三話「模倣の仮面、窃取された顔」
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