🔪登場:ミレイ
深夜の美容整形外科。
診察台の上に座る少女は――
ミレイ・ヴァレンタイン。
二十代前半。
真っ白なワンピースに、艶のある漆黒のストッキング。
その顔は**“完璧な美”を再構築したマネキンのよう**に整っていた。
だが――
その美貌は“誰かの顔”だ。
彼女は他人の顔を剥ぎ取り、それを自分の顔として縫い付けて生きている。
「今日の“彼女”は、ちょっと小鼻のラインが甘かったけど、
肌質はパーフェクトだったわ。」
🔪スケアリーの実況「他人の顔ミルフィーユ」
「ッッひょああああああああ!!!!!」
スケアリーが診察台の下から顔だけ出し、笑い狂う。
「きたねきたねきたねきたねきたねッ!!
“皮膚という前菜”を、他人から剥がして重ねる料理人!!!!」
「顔の層をミルフィーユみたいにして、
その日の気分で“人格を選ぶ”のよ!!!!」
「今日の彼女は“社交的な女”、
明日は“陰気な図書館司書”、
その次は――“君の母親”だぁぁああ!!!!」
🔪ミレイの儀式
クーラーボックスを開けると、
中には保冷された“生皮”が数枚。
ラベリングにはこう記されている。
A型・長女・28歳・社交的・美容師
B型・高校生・大人しい・ピアニスト志望
O型・教師・離婚歴あり・感情希薄
「今日は“高校生の私”にするわ。」
冷静にメスを握り、
今つけていた顔を剥がし、新しい顔に縫い替えていく。
血は滲まない。
慣れた手つきで、痛覚はすでに死んでいる。
🔪ユリウスの独白
「“顔”は、その人の看板だ。
それを盗むってことは、“人生を試食する”ってことだ。」
「でも彼女は……
“どれを食べても満足できなかった”んだな。
“本当の自分”を知らないまま、
他人の味だけを味わい続けてきた料理人――」
🔪スケアリーの食レポ「顔皮の冷製テリーヌ」
「これはねぇ……
**“恐怖が一切ないホラー料理”なんだよ!!!!」」
「顔っていう食材が、
ただの“日替わりのメニュー”になってる!!!!」
「しかもどれを食っても、
**“満たされない味覚障害”!!!!」」
「この女、
“何を食べても空腹が消えない”っていう
**“人格の断絶グルメ”なのよォ!!!!」
🔪ラスト:ミレイの鏡写し
鏡の前。
新しい顔をつけたミレイは、微笑む。
「これが、今日の私。
たぶん、誰かにとっては“愛された顔”よね。」
「でも私は――
誰にも、愛された記憶がないの。」
次回 → 第三十四話「顔の裏のフレーバー」
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