「実は、――――……」
水戸の髪を拭うためのタオルが、ひらり、と手から零れ落ちそうになって、はっとした。
慌てて拾い留め、一時放心していたことを自戒しながら、再びタオルを広げた。
彼女の髪を挟み込み、トントン、とリズムを刻んで気持ちを落ち着けようとするが、射抜くような視線が痛い。
次第にペースが落ちて、う、と肩が縮こまる。
「……そんなに見ないでください……」
「ああ、ごめんなさい……つい、気になって」
申し訳なさそうに瞼を下ろした水戸にこそ、申し訳ない。
俺は僅かに店内の様子を窺い、それぞれが自分達とは程遠い距離にいることを確認し、ようやく意を決して口を開いた。
「……講師の話があるんです」
「講師?」
正しく単語を聞き取り、けれど意味を問うて、彼女の目が瞬いた。
滑り出してしまえば、どこか胸のつっかえが取れたような気がする。**********
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