床に座って片膝をつき、乗せた腕の先で、掴んだ缶ビールの中身が、音を立てて揺れた。
「どちらを選んでも、……選ばなくても、か」
思い出すように、刻みつけるように、反芻して、復唱した。
昼間に、客である水戸が、俺に向けて語ってくれた言葉。
全く、驚く程に、真理をついている。
ふ、と唇の端から、笑いを孕んだ吐息が漏れる。
「水戸さんらしい……」
なんて言える程、知らないくせに。
けれど、間違いなく彼女が選んだ言葉なのだと、わかる。
俺の迷いも、甘えも、逃げすら見透かして、それでも、そうした俺の躊躇いや葛藤まで見抜いて、宥めて認めてくる。
どういう家庭に生まれ、どういう人と出会い、どういう成長を経たら、ああいう大人になれるのだろうか。
隣に並んだら、反射的に距離を取りたくなるくらいに、出来た女性だ。
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