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僕の家には戦争がある

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僕の家には戦争がある

7 - 第7話 歪な愛と真実

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2025年06月22日

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朝の光は優しく差し込んでいた。

けれど、その光の中にいる日本の顔には、どこか翳りがあった。

空はいつも通り、何食わぬ顔で隣にいる。

「なぁ日本、今日さ、帰りにどっか寄ってこ?」

「……いいですよ」

返事はした。けれど心の中では、どこか違和感が膨らんでいた。

(ほんまに、このままいいのでしょうか……)

教室でも、空はずっと隣にいた。誰も日本に話しかけようとしない。

空の「結界」のような存在感が、すべてを遠ざけていた。

「トイレ行く時も僕がついていったほうがいい?」

冗談のようなその言葉に、日本は微かに笑った。

(でも……本当にそう言いそうな気がする)



その放課後。

家に帰ると、リビングに陸と海がそろっていた。

「日本、ちょっと話せるか?」

陸の声は、いつもより穏やかだった。でも、そこに込められた“覚悟”を、日本は感じた。

「……はい」

空が口を挟む。

「日本疲れてるし、話はまたで――」

「空。お前は黙っとけ」

陸のその一言に、空がピタリと口を閉じた。

珍しかった。

空が、誰かに押し黙るなんて。



日本の部屋。

「お前な、最近空に依存してる、大丈夫なのか?」

「……依存してるのは、空さんの方です」

「いや。日本もだ。どっちかが崩れたら、もう片方も終わりだぞ」

海が静かに言う。

「その状態は、共倒れって言うのだ、日本」

「……でも、俺は、空さんしかいないから」

その言葉に、陸の表情が痛む。

「日本には俺も海もいる。お前が助けを求めないから、見えないだけだ」

「助けて、なんて言えません……言ったら、全部壊れそうで」

「壊していいんだ。壊れてもう一回作り直せばいいんじゃないか……日本が笑える世界を」

その言葉に、日本はこらえていた涙をこぼした。

(……あぁ、僕泣きたかったんだ)

そして、部屋の外で――

空はドアの向こうに立ち、すべてを聞いていた。

その瞳に映っていたのは、割れたガラスのような、危うい光だった。


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