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『——……おぎゃぁ、おぎゃぁぁぁ』『産まれた!産まれたぞ、【孕み子はらみご】が産まれたぞ!』と助産師が叫んだ。


千年に一度。この世界には孕み子と呼ばれる子供が産まれる。子はその体に繁栄を孕み、産まれた国に大いなる繁栄をもたらす。 ——もたらすのだが、【孕み子】は……呪われてもいる。その呪いは魔力の強い者へ特に影響しやすく、ジワジワと水面に波紋が広がる様に世界を少しづつ侵食していく。孕み子の生まれ持つ強大な魔力で呪いの蔓延をある程度は抑え込めるが……残念な事に完全では無い。たった一人の体から呪いを撒き散らし、同時にその身に押し込めるという事を繰り返し続けているから限界があるのだ。


『探せ!召喚獣を異世界へ送り込め!救い手となる【純なる子】を、早急に見つけ出すのだ!』


国王が周囲に向かい、怒号めいた声をあげた。前回から今年で千年目がきた事を知ってはいたが、数多く産まれる子供達の中で、まさか我が子が【孕み子】として産まれるとは思っていなかったので、心中穏やかになどいられない。


(初めての子だというのに!愛しい妻から子を引き離す事になるとは——)


『早く、【純なる子】を見付けなければ!探せ、探せ!呪いを解くのだ、早く、早く、早く‼︎』

悲痛な彼の叫びに従い、従者達が慌てて召喚士達の元へと駆けて行く。

『国王陛下……』

家臣の一人が、物悲しい面持ちの彼に声をかけた。辛いのはわかっているが、言わねばならぬ事がある。

『わかっている。……わかって、いる』

瞼を閉じ、彼は一度息を吐き出した。色々な感情が嵐のように吹き荒れ、乱れている心を鎮めるためだ。


『この子を……幽閉塔へ入れる、準備を——』


呪いの影響を少しでも遅らせる為に、国へ撒き散らし始める前に、産まれたばかりの子を結果内に閉じ込めなければ……。

異世界へ飛ばされた僕が獣人彼氏に堕ちるまで

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