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「あっやばい、 あーまたやっちまった」
フェンスを越えたボール。
「いやいいよ自分で行くわ」
取りに走ると、急にボールが飛んできた。
「うわびっくりした、笹木かよ」
「お、ナイスキャッチ」
かばんを背負った笹木がいた。
「頑張るねーこんな暑い中」
「笹木は帰り?」
「バイト。今日は3時間だけだけど」
「おー、頑張れよ」
はーい、と言って笹木は駐輪場に向かった。
「おーい愁、仲良ししてないで早く戻れー」
フェンスの中側にいる部員がこっちに気づいてフェンスに手をかけていた。
「うおっ、ああ、ごめん 」
すぐに中へ戻った。
「で、いつ告白すんの?」
「だからしねえって」
「はーーー長ったらしい恋愛してんなよ、中1からだろ?」
今更言える訳ないだろ。
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『弁当箱教室に忘れた』
『店持ってきて』
『今日19時上がりだから』
召使いじゃねえよ、と思いながら、自分のリュックと弁当箱を乗せた自転車を笹木のバイト先の前に停めた。
「ごめんありがとう愁」
「弁当箱くらい良いだろ、明日は違うの使えば」
「これじゃないと食べれない」
はあ、とため息をついた。
「はい」
目の前に箱が差し出された。
「期間限定の、3切れあるから」
え、と声に出て、中身を見ると期間限定のケーキが3切れ入っていた。
「店の余り?」
「私の奢り」
「え、そんなん良いの、貰って」
「教室閉まってただろうし、鍵借りてまで取ってきてくれたお礼に」
笹木はそう言って自転車に鍵をさした。
「家族で食べて。じゃ」
良い恋愛してんな、俺。
と、自惚れた。