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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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その時リビングのドアがガチャッと開き女性二人が入ってきた。


「ねぇ見て見て、どお? 私の腕もなかなかでしょう? 今から美容師かメイクアップアーティストにでもなろうかしら?」


百合子はウキウキしてご機嫌だ。

男性二人が振り返ると、そこにはとても美しい花純の姿があった。


花純が着ている服はウエストに切り替えのあるワンピースで、上はフリルネックでフレンチスリーブの上品なブラウス風のデザイン、そしてスカート部分はラベンダー色のレースで出来た裾部分が少し広がったミモレ丈のスカートでとてもエレガントだ。

その服は花純にとても良く似合っていた。


愛らしさとエレガントさの両方を兼ね添えているので婚約発表の場にも相応しく、またガーデンデザイナーとしてのデビューの場にもぴったりだ。

この服を選んでくれた凪子のセンスが光る。あえてバリキャリ風のスーツにしなかったところが心憎い。


またいつもストレートだった花純のヘアスタイルは緩いウェーブがかかりとても女性らしい印象を与えていた。

メイクもいつものナチュラルメイクとは違い、テレビ写りや写真写りを意識したしっかりメイクを施してある。

その華やかなメイクはエレガントな服にとてもマッチしていた。


あまりにも美しい花純を見て壮馬は驚いていた。

花純の元々の素材がいい事はもちろん把握していたが、ここまで変貌するとは思ってもいなかった。

感動のあまり言葉を失う。


その時花純がリビングにいる雄馬に気付いた。


「お父様、いらしてたんですか?」

「花純ちゃん、お邪魔しているよ。それにしても今日は何とまあ美しい!」


雄馬が思わず感嘆の声を上げると百合子が言った。


「フフッ、花純ちゃんは肌も綺麗ではっきりした目鼻立ちだからメイクするのが楽しかったわ」

「さすが俺の女房だ! 百合子のセンスは相変わらず最高だよ!」

「あら、褒められちゃった♡」


百合子は嬉しそうにニコニコした。そこで雄馬が言った。


「おいっ、壮馬! 何ぼけーっとしてるんだ? こういう時はちゃんと口に出して褒めるんだぞ!」


雄馬の言葉に壮馬はハッとして慌てて言う。


「花純、素敵だよ。とっても綺麗だ」

「ありがとうございます」


花純は頬を染めて恥ずかしそうに返事をする。


花純が最近ぐんぐんと美しくなっている事に壮馬は気づいていた。

壮馬に愛される事で今までは蕾だった花純の美貌が一気に開花してしまった。

そのあまりにも急激な変化に壮馬は気が気でなかった。花純に悪い虫がつかないかと毎日ひやひやしている。

しかしそんな気苦労も今日で終わりだ。公式に婚約発表をしてしまえば少しは安心できるだろう。


その時、壮馬の脳裏には初めて花純と出逢った時の風景が蘇る。


すっきりと青空が広がる昼下がりの午後、空中庭園には緩い風が吹いていた。

そして人気のない庭園でしきりに木々の様子を真剣な表情で見つめている女性がいた。


壮馬はつい声をかけずにはいられなかった。

勝手に足が動き出し花純の傍へ近づくと声をかけていた。


なぜ自分がそんな行動を起こしたのか、その時はわからなかった。

しかし今ならわかる。自分はあの瞬間から花純に惹かれていたのだと。


そして今、花純は自分のものになろうとしている。これから一生花純は自分の傍にいてくれるのだ。

そう思うとこの上ない幸福感に包まれる。


壮馬は優しい瞳で花純を見つめながら感動に浸っていた。


二人の間に漂う優しい空気を感じ取った雄馬と百合子は、

微笑みながら若いカップルをそっと見守っていた。


その後準備が整ったところで、四人は運転手付きの雄馬の車でオフィスビルへ向かった。

クールな御曹司はフラワーショップ店員を溺愛したい

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