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ん……?
まずここ、どこだ…
俺は、ゆっくり起き上がった。
――――
ん……
んん……?
ここ……俺んち……か?
……てか、何時だ。昨日……どこで終わったっけ?
昨日、確か最後に行った店で。
――――
どうやら自室でスーツのまま、ぶっ倒れるように寝ていたようだ。
記憶が、飛んでるんだ…
さすがに飲みすぎたか。
――――
ぐいっと布団を剥がす。
眩しい。天井が白すぎる。
寝汗がシャツに張りついてる。
俺はベッドの上で、しばらくぼーっとしていた。
視界の端に、捨てられたようにバッグがある。
ネクタイは見当たらない。たぶん道に捨てた。どうせ安物だ。
結局……最後って……どこで飲んでたんだ?
――――
マンデー、ダリ、ソラ……あいつらと四軒目までは確かに行った。
そこで抜けて、……ああ、そうだ。自販機で水買って、路地に入って。
……そこで、ベンチで確か。
あっ……寿司、食ったよな?
――――
ペソとかいう、変な魚。
めちゃくちゃ臭いのに、うまかった。
汁も刺身も……
そもそも、あんな店どこにあった?
店主の顔……思い出せねぇ。
でも、あの炎は覚えてる。
あれはたしかに、目の前にあった。俺の目が、
見てた。はず。
――――
ふと、薄く口の奥に、かすかな渋みを感じた。
怪訝……あの酒の味だ。
からくて、渋くて……でも、旨かった。
俺はベッドに座ったまま、しばらくその味を舌に探していた。
見つかるわけないのに。
もう残ってるはずなんかないのに。
――――
とりあえず、スーツはクリーニングだな…
ポケットから財布やハンカチを取り出す。
……ん?
紙切れが一枚。
指先に感じる、少しだけザラついた手触り。
引っ張り出すと、それは名刺サイズのカードだった。
――――
白い。
真っ白だ。表も、裏も。何も書かれていない。
……何これ。俺、こんなの……もらったか?
まるで、「思い出せない何か」が、
この白さに吸い込まれていくみたいだった。