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「ちょ、ちょっと蛍やめてよ」

「あの二人絶対デキてるわ!」

「一応私の最推しなんですけど! やめて! リースはそんなんじゃない!」


そう言って、私は蛍の肩を掴んだ。しかし、彼女は止まらなかった。蛍は、まるで獲物を狙う肉食獣のような目をしていた。

こうなった蛍は止らない。しかし、今回ばかりは口を閉じて欲しい。


「メイン攻略キャラがヒロイン以外とくっつくなんてあり得ないでしょうがッ!」


私は、思いっきり机を叩いた。蛍はビクッと体を震わせ黙った。


「はあ……はあ…………と、兎に角……妄想するならリース以外でお願いします」


あはは。ごめん…と蛍は申し訳なさそうに呟き、項垂れた。

私も言いすぎたかなと思ったけど、彼女にはこれぐらいが丁度いい……

なんたって彼女は――――


「川に落ちた同人誌を拾うために、橋の上から飛び降りてそのまま死んじゃったの忘れたの!」

「いやあああ! やめてッ!」


蛍は悲鳴をあげ、頭を抱えてしまった。


そう、彼女の死因は溺死。

コミケ帰り川に落とした同人誌を拾うために橋から飛び降りてそのままぽっくりいってしまった。あんな真冬の真夜中の川に飛び込む馬鹿が何処にいるんだと、彼女の死因を聞いて吃驚した。悲しいという感情より驚きと呆れが強かった。

川から引き上げられた蛍の両手にはしっかりとピンクの同人誌が握られていたらしい。

実際見ていないから分からないが、橋の上にも同人誌、引き上げられた川辺にも大量の同人誌が広がっていた。勿論どぎつい薄い本だった。


「アンタ、ダーウィン賞貰えたかもね」

「今すぐ忘れて……その記憶全て抹消してぇ……」


蛍は、悔しそうに歯噛みをした。私はそんな彼女を見て少し笑った後、再び紅茶を飲んだ。

蛍といると、なんだか安心する。それはきっと、姿は違っても中身が蛍だからだろう。


「まっ、此の世界でアンタの死亡理由知ってるの私だけだから安心しなよ。いつでもネタにしてあげるから」


私がそう皮肉ってやると、蛍は不満ありげに笑った。

それから暫くの間、蛍はずっと私のことを睨み付けていた。そして、話題を逸らした。


「それで、巡は……えっと、今はエトワールか。で、誰を攻略する気なの?」


私は、カップを置いた。

正直、決まっていないし、リース以外の攻略キャラについてはそこまで興味がない。一応一通りはどのルートも回っているのだが、誰がなんといおうとリースのルートが最高でありあれを越えられるキャラはいなかった。

だから、正直本当に困っている。


「ほら、リース以外に五人いるじゃない」


蛍は紙に名前を書いていった。


平民上がり騎士、グランツ・グロリアス。

暗殺者の公子、アルベド・レイ。

侯爵家次期当主、ブライト・ブリリアント。

伯爵家の双子、ルクス・ダズリング、ルフレ・ダズリング。


蛍は名前を全部書き終えると、私を見た。私は、何とも言えない表情で蛍を見る。

蛍の説明は間違ってはいないのだが、名前の横に描かれた攻略キャラらしき絵が気になって仕方がない。画伯としかいいようがない。


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