この作品はいかがでしたか?
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私はデリヘル嬢をやっている。デリバリーヘルス、お客さんの部屋やホテルに行って、えっちなことをするお仕事で、若い女の子がよくやっている。今日のお客さんはビジネスホテルだ。出張中のサラリーマンなんかがよく使うイメージ。初めてのお客さんだから、ちょっと緊張する。
フロントをさっと抜けて、エレベーターに乗り込む。宿泊客ではないので、たまにフロントで止められたりするのだ。それはちょっと恥ずかしい。
ええっと、お客さんは、けっこう上の階だったな、16階だっけな、と迷っていたら、大学生くらいの男の子たちが二人、載ってきた。ちょっと気まずい。おまけに、なんだかこっちをにやにやしながら見てる……。やな感じ。しかも、エレベーターが動きだしたら、その人たちが話しかけてきた。
「ねえ、君もこのホテルに泊まってるの?」
「……あ、いえ、ちょっと知り合いに会いに……」
なんだろう? ナンパってやつかな? こういうときはどうすればいいんだっけ? 無視してもいいんだっけ?
「俺たちもそうなんだよー」
「へえ、奇遇ですね」
とりあえず、愛想笑いをしてみた。すると、二人は顔を見合わせて笑った。何よ、この子たち!
「いやー、俺らも今から部屋に戻るところなんだよね」
「そうですか、じゃあここで失礼しますね」
「待ってよー、せっかく会ったんだし、一緒に行かない?」
「え? いえ、行きませんけど……」
思わず、声が固くなってしまった。こんなところで知らない男と一緒に行くなんてあり得ない。
「えー、つれないじゃん。行こうぜー」
そう言って私の腕を掴んできた。ひゃっ、やめてよ! 怖いんだけど……! 助けて……! その時、エレベーターがひらいた。私は「失礼します」っといって逃げ出した。もう最悪!! ほんとに怖かった! しばらく走って、後ろを振り向くと、二人の姿が見えないことに安心した。よかったぁ……。はあっ、はあっ、はあっ……。息を整えながら、廊下を歩く。
目的の部屋の前まできた。ふう、やっとついた……。部屋をノックすると、中から中年の男性が出てきた。これが今日のお客さんか。
「ああ、よく来てくれたね。よろしく頼むよ」
「はい、こちらこそお願いします!」
挨拶を交わした後、部屋に案内された。まずお店に報告の電話をし、男性からお金を受け取った。そして、「シャワーを浴びてくる」と言って、彼はバスルームに入っていった。私はベッドの上に腰掛けて、彼が出てくるのを待つことにした。机の上には、さっきまで何かの作業をしていたのか、パソコンがおきっぱなしになっていた。やっぱり、出張なのかな。
しばらくして、彼が出てきた。
「それじゃあ、始めようかな」
そう言うと、私の隣に座ってきて、肩を抱き寄せてきた。うわ、いきなり積極的……。そのまま唇を重ねられた。キスをしながら、彼の手が胸に触れてきた。優しく撫でるように揉まれていく。やがて、服を脱がされ、下着姿になった。かわいいブラだね、と言われて恥ずかしくなった。あんまり見ないでほしいな……。それからショーツに手をかけられた。少し抵抗したが、結局脱がされてしまった。裸になると、今度は全身をくまなく舐めまわされるように触られていった。身体中に触れられているうちに、だんだん気持ち良くなってきた。とそのとき……
「いえー! 始まったぞー!」
誰かが外で騒いでいる。別の部屋の客だろうか。なんとなく、さっきの大学生を思い浮かべた。
「壁、薄いんですかね」
「ううん、そんなこともないはずなんだけどね。よっぽど大声で騒いでいるんだろう」
男性は気にせず、行為を続けようとするが、私はなぜか落ち着かなかった。だって、隣の部屋にあの男の子たちがいるかもしれないんでしょ? 嫌だなあ……。それでも、男性の愛撫で次第に快楽が高まっていき、何も考えられなくなった。……とはいえ、さっきの男の子たちが気になり、喘ぎ声は控えめになっちゃう。
「おとなしいんだね」
「そ、そうですか?」
「もっと声出してもいいんだよ?」
「でも……」
「ほら、遠慮しないで」
「んっ、あっ……」
するとまた隣りから騒ぎ声が聞こえてきた。
「大声出せー!」
うるさいなぁ、何を騒いでいるんだろう?
「気になるかい? ちょっと注意してこようか」
そういうと男性はローブを羽織り、部屋を出た。
「ちょっと静かにしてくれないかな?」
男性が苦情を言いに行ったようだ。だが、一向に収まる気配はない。
「すいませーん、今いいところなんすよー!」
何がいいところなんだよ……。まったく、もう……。そうこうしているうちに、男性が戻ってきた。
「ごめんね、なかなか治まらなくて……」
「いえ、大丈夫です」
「仕方がない、僕たちも楽しもうか」
再び、愛撫が再開された。今度は大きな音を立てないように、ゆっくりと愛していく。
「ああっ、そこっ……」
「ここ? 気持ち良い?」
「はい、すごくっ」
しばらくすると、絶頂を迎え、私は声をあげてしまった。
「いいぞー!」
「フィニーッシュ!!」
男の子たちは相変わらず騒いでいた。いったい何をそんなに騒いでいるんだろう。
「よかったよ。今日はありがとう」
「いえ、こちらこそ」
環境は最悪だったけど、お客さんはいいひとでよかった。私はそれなりに満足して部屋を後にした。
……数時間前のこと。中年男性が、大学生ぐらいの男たちと話していた。
「……そういうわけで、このパソコンのカメラをオンにしておくから、君らは隣りの部屋で様子を見ながら、適当に騒いでくれ」
「うっす。やってるとこ見て、金ももらえるなんて、最高のバイトっす」
「まあ、私も見られるのが趣味だからねぇ」(終り)
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