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目が覚めた。
闇だ。
何だ、まだ夜か。
目を閉じる。
眠りに落ちる。
深く、深く。
目が覚めた。
闇だ。
何だ、まだ夜か。
………。
おかしいな、眠くない。
たっぷり寝た後の爽快感がある。
目を開ける。
闇だ。
「……今、何時……」
寝る前に枕元へ放ったスマホを手繰る。
既に白く輝く画面に浮かんでいるのは、
08:26
「……?朝の、八時?」
カーテンの隙間から陽が零れるだろう時間。
半身を起こし、ベッドから室内へ視線を走らせる。
手元のスマホ以外に光はない。
「雨…なのかな」
勘で指先を伸ばす。サイドテーブルに行き当る。
照明のリモコン…、あった。
「…あれ…着かない…」
まさか故障?…くそ、ついてない。
長い溜息を吐く。
八つ当たり気味に足で布団を蹴飛ばす。
拾ったスマホを道標として翳し、窓辺へ向かう。
触った布の感触。勢いをつけ滑らせる。
闇だ。
硝子に映っているのは、光源に照らされた自分のみ。
他は全て闇だ。
「え………」
見慣れ切った双眸を見詰め、呟いた。
片手で足りる乏しい光を頼りに壁を伝い、寝室から抜け、リビングを過ぎ、キッチンで足を止める。
冷蔵庫……これか。
狂う程の渇きを潤そうと開いた其処に、やはり光はない。
苛つきの舌打ちを放ち、飲み干したペットボトルを床へ叩き付ける。
自然と荒がった息へ重なる軽い音が、より焦燥を駆う。
外にさえ出れば。
逸る足を玄関へ辿らせる。
素早く解錠し開いた先は、
闇だ。
どうやって戻ったか定かではないベッドの上。
膝を抱えてからどれくらい経ったかも、定かではない。
手にしたままのスマホへ、虚ろな目を落とす。
着信が、一件。
既に考える事を放棄していた目黒は、無意識に表示を叩いた。
白く輝く、阿部亮平の文字を。