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Scene47
先輩が少しだけ姿勢を正す。
その動きが、さっきよりも近く感じた。
「……あの頃、
あなたの言葉を読むたびに、
自分がどう返せばいいのか分からなくなっていました。」
声は静かだけど、
どこか迷いが混ざっている。
「どう返せば……って、そんなに難しかったですか?」
丁寧語なのに、
自分でも分かるくらい声が柔らかい。
先輩はゆっくり首を振る。
「難しいというより……
あなたの言葉が、
思っていた以上に真っ直ぐで。」
胸がふわっと温かくなる。
「えっと……
そんなふうに受け取ってくれてたんですね。」
自然と笑ってしまう。
深刻じゃなくて、
ただ嬉しかった。
先輩が少しだけ目を伏せる。
「だからこそ、
ちゃんと向き合いたいと思ったんです。」
向き合いたい──
その言葉が胸に落ちる。
「……向き合うって、
どういう意味ですか?」
聞きながら、
胸の奥がそわそわする。
先輩が顔を上げる。
その目は、
さっきよりもずっとまっすぐだった。
「今は……
あなたにどう思われたいのか、
はっきり分かっています。」
息が止まる。
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芙月みひろ
#裏切り
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