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芙月みひろ
#裏切り
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Scene48
「今は……
あなたにどう思われたいのか、
はっきり分かっています。」
その言葉の余韻が、
テーブルの上に静かに残る。
胸の奥がじんわり熱くなって、
カップを持つ指先が少しだけ強くなる。
(……そんなふうに言われたら)
期待が、
もう隠せないくらい膨らんでいく。
「えっと……
それって……」
言いかけた声が、
自分でも驚くほど小さくなる。
先輩は、
まるで何かを決めた人みたいに
ゆっくりと姿勢を正した。
「あなたに……
誤解されたくないんです。」
誤解──
その言葉に胸がまた跳ねる。
「誤解って……
どんな……?」
丁寧語なのに、
声が少しだけ近くなる。
先輩は一度だけ息を吸う。
その仕草が、
さっきよりもずっと覚悟を帯びていた。
「僕が返事を迷っていたのは……
距離を置きたかったからじゃありません。」
胸の奥が、
静かに、でも確かに熱くなる。
(……やっぱり)
「むしろ……
近づきすぎるのが怖かったんです。」
息が止まる。
(近づきすぎる……?
私に?)
カップを持つ手が、
ほんの少しだけ熱くなる。
「……それって……」
言葉が続かない。
でも、続けなくても伝わる気がした。
先輩が、
ほんの少しだけ微笑む。
「続き……
聞いていただけますか。」
胸の奥が、
静かに高鳴る。