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私はどうやら、子どもたちから神様だと思われているらしい。ただし、「エロ神様」という、ちょっと不名誉な神様だが……。きっかけはこうだ。近所に神社と、ちょっとした森があった。そこに、ときどきいらなくなったエロ本を捨てていた。捨てた本は、どうやら小学生がひろっていたらしい。まあ、性に興味のある年頃なんだろう。
ところがある日、いつもエロ本を捨てている場所に立っている木の、穴の中に、メモが入っているのを見つけた。そこには、「神様、どうか巨乳を下さい。お願いします」と書いてあったのだ。小学生にして巨乳好きとは、なかなかおませさんだ。思わず笑ってしまったが、ちょっと面白かったので、実際そこに巨乳物のエロ本を置いておくことにした。
それからしばらく経って、またその穴の前に行ったら、今度は別のメモが入っていた。それは「神様、○○をお願いします」という内容だった。すっかり神様と思われてしまったことが面白く、また要望を叶えてやった。そんなこんなで、いつの間にか、私のことを「エロ神様」と呼ぶようになったらしい。
面白いのは、男の子だけでなく、ときには女の子からの要望もあった。そのときには、どちらかというと実写ではなく、漫画のキャラなどのBL物が多く、これはさすがに手元になかったので、わざわざ通販で買ってやったりしていた。そこまでしていたのは実はある目的があったのだが、それはまた後で話そう。
私が神になってしまってから、どれほど経った頃だろうか。あるとき、とんでもない願い事をするやつがいた。それは、「同じクラスの佐藤さんのエロ本をください」というものだった。まさか同級生のエロ本を要求するやつがいるとは!
だが実は、こんな日がいつか来るのではないかと思い、いろいろ用意していたのだ。例えば、先ほどのBLをお願いした女の子。メモと、エロ本を持って行く瞬間をとらえた写真を用意し、脅しの材料とした。
「へぇ、女の子が、こんな本を読むんだねぇ。でも、落ちているものを盗んじゃいけないよ。学校に、通報しなきゃねぇ」
どう考えても、小学生の女の子を脅している俺が悪者なのだが、「盗んだ」とか言う言葉を使い、罪悪感を植え付ける。するとたいていの子は、ごめんなさい、許してくださいと謝ってくるので、「いいよ、その代り……」といってその子たちの写真をコレクションした。どうやら私は、神は神でも、邪神や、疫病神などの類らしい。
そんな感じでそれなりのコレクションはあったが、それにしても佐藤って誰だ。せめて名前を書けよ、とは思ったが、なんとなく心当たりはあった。男の子たちが、「佐藤ってかわいいよな」みたいな噂をしていたのを聞いたことがある。おそらくは、あの子だろう。おそらくは、あの子だろう。
残念ながら、手持ちのコレクションの中にはなかった。だが、私は何とかなる確信があったので、「一ヶ月待て」というメモを残し、準備に取り掛かった。実は、佐藤の祖父のものらしきHPをみつけていた。おじいちゃんからすると、自慢の孫娘なのだろう。大人から見ても可愛らしい女の子だ。だが、昔の人は少々無防備過ぎた。そのHPに掲載された写真の中には、お風呂の写真や、プールの写真など、裸の写真もあったのだ。もちろん修正などされていない、生の画像である。しかも、かなり鮮明なものまで載せられていた。これをうまく利用すれば……と思ったのだ。
まずはそのページを印刷しておき、あとはタイミングを見計らうだけ。そして数日後、ついにその時が来た。学校帰りの、「佐藤」だと思われる少女がちょうど一人になった。チャンスだと思い、話しかける。
「こんにちは」
「えっ?……こ、こんにちは」
いきなり知らない人に挨拶されて驚いたのか、彼女は少し戸惑った様子を見せた。
「ねえ、君の名前を教えてくれるかな?」
「佐藤ですけど……」
やはり彼女だったようだ。
「じゃあ、この写真も君だね?」
そういって、この子の祖父のHPからダウンロードした、裸の写真を見せる。
「あっ! これ、あたしの……。どうしてあなたがそれを!?」
「まあまあ、落ち着いて。それより、ちょっと頼みたいことがあるんだけど」
「な、何ですか?」
「君の写真を撮らせてくれないか?」
「しゃしん……って、何のためにですか?」
「それは秘密だよ」
当然のことながら、警戒された。まあそうなるだろう。そこで、手っ取り早く脅すことにした。
「嫌ならいいよ。クラスのみんなに、君の裸の写真をプレゼントするから。きっと、みんな喜んでくれるね。まあ、もし本当にそんなことになったらだけど」
「ひっ……。わ、わかりました」
「それじゃ、ちょっとついてきて」
「はい……」
誰にも見つからないうちに、彼女を普段使っているスタジオへと連れていった。
「さて、おとなしく言うことを聞いてくれたから、顔は隠してあげるね。その代り、顔以外は隠しちゃだめだよ。さあ、着ているものを全部脱いで」
「はい……」
それから私は、彼女のいろんな姿を撮った。胸を強調したものや、お尻を強調するものなど、いろいろ試した。
「よし、こんなところかな」
「はぁ……」
「君がおとなしく言うことを聞いてくれたから、もうこれ以上君を困らせたりはしないよ。でも、もし、君がこの事を誰かにしゃべったら……、わかっているね?」
こうして私は、頼まれた「佐藤」のエロ本を無事つくることが出来た。そして約束の日に、あの木のところに届けた。その後のことは知らない。同じような注文が殺到したらどうしようかなとも思ったが、そんなことはなかった。子どもたちというのは、案外つつましやかなものだな。
やがて時代は移り変わり、「エロ本」という文化自体が廃れていって、私もエロ神様を卒業することになった。私を神とあがめていた少年少女たちは、今どこでどうしているだろうか……。(終り)