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瑠衣は、バスタオルで身体を拭きながら脱衣所を見回す。
洗面台の横には、真新しい下着と黒いTシャツワンピースが置いてあり、監視されている割には随分と良くしてくれる、などと考えていた。
(あのワークキャップの男が準備したの? 一応付き添い人も兼ねているみたいではあるけど……)
それにしても、男が女の着替えを用意するなんて何だか気味が悪い、などと思ってしまった。
何となくではあるが、ここはどこかの別荘なのかと感じる。
シャワールームも今いる脱衣所を兼ねた洗面所も、そこそこ綺麗だ。
(今度は監視役の男に犯されるのか。だからシャワールームに連れて来られたんだ……)
明日からは、十万目当ての見知らぬ男たちに身体中を嬲られると思うと、吐き気を催す。
瑠衣は気落ちしたように俯き、洗面所を出た。
扉を開けると、監視役の男がずっと待っていたのだろうか、腕組みをしたまま目の前に立っていた。
「っ!」
瞠目しながら肩をビクっと震わせていると、男は瑠衣の手を引き、散々蹂躙されたベッドルームへと連れ戻す。
部屋を無表情で見回すと、嫌な臭いの残滓が仄かに漂っている。
男は窓を開けて空気を入れ換えると、再度瑠衣へ近付き、黙ったまま左手首に縄を括り付けていく。
(ヤバい……押し倒される!)
身構えた瑠衣は身体を硬直させるが、男は彼女の横に腰を下ろし、先ほどと同様に顔でフイっとベッドを指す。
横になれ、と言いたいのだろうか。
ずっと無言のままでいる男が、とにかく不気味で仕方がない。
瑠衣はそのまま横になると、男はサングラス越しに瑠衣を見やったままで、襲い掛かる事もない。
(な……何なの……?)
まだ気怠い状態の中、瑠衣がウトウトしていると、男は立ち上がり、部屋の隅のパイプ椅子に腰掛けた。