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仕事とはいえ、瑠衣を抱いた時、全てが初々しく、眩しく感じた拓人。
恥ずかしそうに、初めての相手が拓人で良かった、と彼女から言われた時、なぜか嬉しさが込み上げる。
と同時に、これから瑠衣が、娼婦として人生を踏み出す事に、どこか寂しさも感じていた。
これから瑠衣が、金のために多くの男たちと関係を結んでいく事を思うと、胸の奥が締め付けられる。
娼館まで瑠衣を送り、小さな背中を見つめながら、拓人は初めて人を好きになる事を知ったような気がした。
彼女を抱いて以降、仕事で女と身体を交える事は多くあったが、無意識に瑠衣を重ねてしまう彼。
(俺…………完全に瑠衣ちゃんに惚れてるな……)
行為の最中に、彼女の幻影を振り切ろうと、かぶりを振った事も数知れない。
四年振りに瑠衣と再会した昨年の十一月。
偶然にも凛華と瑠衣に会った拓人は、大人っぽさと艶を増した瑠衣を見て、胸の鼓動が大きく弾かれた。
三人で立ち話をしていると、誰かに尾行されている、と凛華に愚痴を零された彼は、不穏に感じ、二人を車に乗せて、西新宿にある電鉄系ホテルのラウンジで、お茶をする事に。
二人と別れ、秘密厳守の娼館の人間が、尾行されている事に引っ掛かった拓人は、自宅へ戻ると、ネットでSNSを開き、闇バイトの募集を検索した。
年の瀬も近付いた十二月。
拓人は、凛華と瑠衣に関係する闇バイトの募集を発見。
だが、時すでに遅し、で、彼が何気なくテレビのスイッチを入れると、凛華がオーナーを務める娼館『Casa dell’ amore』の火災のニュースが飛び込んできた。
他のチャンネルに変えても、画面に映るのは娼館の火災の報道。
『Casa dell’ amore』は、娼館として営業していた事を隠蔽していたため、ニュースでは、『赤坂見附の屋敷火災』として報道され、テロップも同様に表示されている。
しかし、火の気のない一階の洋室が、激しい燃え跡が残っていたため、この火災は放火の疑いもあると見られ、オーナーの星野凛華を始め、四人の犠牲者が出た。
仕事仲間だった凛華を失い、拓人の悲しみは計り知れない。
(闇バイトの首謀者が、凛華さんと瑠衣ちゃんを狙ってるならば…………次に狙いを定めるのは……瑠衣ちゃんだろう……)
彼は、凛華が亡くなった後も、SNS上に更新されていく闇バイトを、引き続き注視し続けた。
そして、今年一月。
拓人は、ついに瑠衣をターゲットにした闇バイトの募集を見つけた。