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#魔法
しろのね
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陽瀬 柚夏
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管野アリオ
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藍 羅 . 🎧🌿
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夏樹が身を隠すようにして由恵の店に現れて以降、男は週に二度、エスカレーターの近くで待ち伏せしているような状況が一ヶ月ほど続いていた。
午前だったり、午後だったり、時間はまちまちではあるけれど、由恵は夏樹が休日に姿を現していると推測する。
立川店の店舗スタッフの間では『気味の悪い男』として有名になり、店長が本社に状況報告をすると、専務取締役の松山 廉が立川店の店頭に立つ事になった。
次期社長と言われている役員クラスの人間が、ショップスタッフと店舗に立つのは前代未聞だし、異例中の異例だろう。
九月下旬に入り、専務の松山が立川店に来店した。
「本日から『視察』という名目で、しばらくの間、立川店で仕事をする事になりました松山です。最近、物騒な事件が多く、スタッフの安全を確保するのも、専務である私の仕事と思っております。皆さん、よろしくお願いします」
開店前の朝礼で、松山が挨拶を述べた。
長すぎず、短すぎない黒髪にアップバングにしている前髪。
スッと通った鼻筋、奥二重の瞳と顔立ちは甘くも渋く、野生的な雰囲気を醸し出している、若干濃いめの精悍な顔立ちだ。
松山がいる時も、夏樹は身を潜めるように姿を現し、由恵は鋭い眼差しを突かれる。
女性スタッフたちは、男が誰に視線を送っているのか気になっているみたいだけど、専務の松山には分かっているようだった。
松山が立川店に来てから半月ほど過ぎた頃、夏樹は変わらず由恵に向けて、エスカレーターの物陰で鋭い視線を放っている。
「村下さん」
「はい」
他の女性スタッフが休憩に行っている間、松山と由恵で仕事をしている時、真剣な眼差しを送る彼に、由恵の背筋がピンと伸びる。
「恐らくだが、エスカレーターで見張っている男は…………君狙いだろうな」
松山が店内を見回す振りをしながら、エスカレーターの物陰でじっと佇んでいる夏樹に目を配る。
「……え?」
図星を当てられたように、由恵の身体が小さく震える。
「どうして…………分かるんですか?」
「そうだな。『男の勘』ってヤツ」
松山がフッと目を細めたけど、すぐに引き締めた。
「俺が見ていて感じたのは、男は君が休憩に入ったら、ここから立ち去る。だが、今もまだここにいるって事は…………君の動向が気になるって事だと思う。村下さんと接点を持ちたいのか、よく分からないが。あくまでも、俺の推測なんだけど……」
「…………」
松山の言葉に、由恵は黙ったまま、辿々しく肯首した。
「君のプライベートに、俺がとやかく言う筋合いはないが、気を付けた方がいい。下手したら…………君の命に関わる事もあるかもしれない」
松山が最後に言ったひと言が、由恵の胸中に鉛を落とされたように重く響く。
「そっ…………そんな大袈──」
「いや、人の命は…………呆気なく奪われてしまう事だって……あるんだ……」
「…………」
由恵の言葉を退けながら、苦渋を滲ませた松山の言葉が、彼女の心に大きな影を落とされた気がした。
コメント
1件
管野アリオさん、第4話読みました。松山専務が来ても夏樹の視線は変わらずで、由恵さんの震えがすごく伝わってきました。特に「人の命は呆気なく奪われる」という松山さんの言葉が重くて、胸がぎゅっとなりました。この静かな緊張感、すごく好きです。次が気になります…素敵な作品をありがとうございます🌙