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第2話:碧の図面
📐 シーン1:設計開始、都市の骨格
朝、瓦礫と碧素の砂が舞う作業区画。
中央には、ケンチクが立っていた。
額のゴーグルを下ろし、褐色の肌に朝日が当たる。
分厚い作業ジャケットの胸には「CITY DESIGNER」の碧素紋章。腰のツールベルトには大小の杭と設計端末が揺れていた。
「ほな始めまひょか……!ワイの図面、ここに刻んだる!」
彼の指がホログラムをなぞると、空間に立体的な都市構造が浮かび上がる。
ビルの外骨格、歩道のレイヤー、塔のエネルギー導線。
まるで未来が空に浮かび上がったかのような、動く建築設計図が出現した。
その隣でアセイが操作端末を構えていた。
黒髪を後ろで束ね、青と白の設計スーツに碧素通信端子を複数装着している。
銀縁の眼鏡の奥、目の動きは鋭く、冷静だ。
「フラクタル装置の配置は、通気と光流のバランスを取る。
さらに防衛機能として、塔基部に《バリア・ドーム》を格納する設計にする」
「おおお、さすがやな……その発想、ワイには出てこぉへん!」
ふたりのホログラムが連動し、塔の中枢に“生きた都市の心臓”が形を取り始める。
🤖 シーン2:すずかAIの最適化支援
「設計構造、72%完成。現在、構造効率は基準比118%。
おふたりの連携により、設計速度が前回比141%。素晴らしい成果です」
塔内スピーカーから、すずかAIの声が流れる。
落ち着いた女性の声で、分析結果を淡々と述べながらも、どこか温かい。
「すずか、今んとこ問題点あるか?」
「副塔間のデータ伝達路に歪みあり。構造軸を5°東へ回転させると、共鳴干渉を13%減少できます」
「さすがやな!ほな、そっちで調整頼むわ!」
🌪️ シーン3:旋風フラクタル、襲来
そのときだった――
塔の周囲に設置されたフラクタル杭が、音を立てて共鳴を始めた。
《WARNING: FRACTAL DISTORTION DETECTED》
《CODE TYPE:UNSTABLE/旋風(SENPU)PATTERN》
「……来たか。初の暴走、やな」
アセイが眼鏡を押し上げた。
杭の一本がひび割れ、地面から碧色の風が巻き上がる。
砂塵が渦を巻き、未完成の外壁を切り裂くように駆け抜ける。
「ギョウ!位置、測れるか!?」
遠くからケンチクが叫ぶと、すでに解析を始めていたギョウが声を返す。
「座標出たっぺ!旋風の核、ここ!杭で封じるっぺ!」
ギョウは細身で眼鏡、ハンドスキャナーを手に杭の位置を算出。
ゴウが大柄な身体で杭を抱え、右腕の重機で一気に打ち込む。
「っしゃああっ!重機杭、ぶち込むっぺぇぇぇっ!」
ドンッ!!
杭が着地し、碧の脈動が地面へ走る。
風が軋み、ねじれ、やがてシュウウウ……と音を立てて収まった。
キョウが無言で制御装置を確認し、静かに頷く。
「……制御完了。再発の兆候なし」
🧭 シーン4:再び描き直す都市のかたち
風が止み、都市の図面が静かに揺れていた。
「……こいつら、ワイらの街を試しとるんかもな」
ケンチクが杭を見つめながら呟いた。
「なら、応えてやろう。
“どこまででも描けるぞ”って、示そう」
アセイの端末が、再び光る。
都市の骨格が再び組み直され、より強固で、柔軟な形へと変化していく。
すずかAIの声が、静かに囁いた。
「碧律の街は、風に揺れながらも、折れません。
設計士たちが、“未来”を描き続ける限り――」