テラーノベル
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いつも以上に緊迫したBGMが私の脳内を駆け巡る。
「なあ、紀美。お前の口座どうなってんの? 金、入ってないんだけど」
建真の攻撃!
「え。知らないよ」
建真の攻撃をかわし、とぼけてみせた。
「知らないよ、じゃねえだろ。給料の振り込み口座変えただろ? じゃなきゃおかしい。こんなことは今まで一度もなかった」
建真の更なる攻撃! 私は心臓がひやりとした。5ポイントのダメージ!
おろおろしてなにも言えない状態に陥った。
「貸せ」
リクルート鞄をひったくられた。建真は鞄を漁り、私の財布だけを抜き取って鞄を床に投げ捨てた。「なんだこれは?」
新しく作ったキャッシュカードを目の前に突き付けられたので目が泳ぐ。こんな時、正直者の性格が憎らしい…。
「俺に許可もなく勝手に口座作って振込先変えるなんて、いい身分してるな。誰に養ってもらってると思ってるんだ?」
「で、でもっ…」
「でもじゃねえよ! 夫に許可なく口座変えるような真似して、無能なお前が無駄遣いしたりしないように、俺が管理してやってるんだ。ありがたく思え」
その言葉に私の中で何かが切れた。もう黙っていられない。
「かっ、勝手なこと言わないでっ!!」
張り詰めた糸が切れたように、私は一気に建真へ不満をぶちまけた。
「そんなこと、ぜんぜんありがたいなんて思えないっ!! 私だって美容院にも行きたいし、もっとお洒落したいし、化粧品だって欲しい! お洋服も欲しいしもっと、もっと、やりたいこといっぱいあるもの!! このお金は私が稼いだお金だよっ! 自由にしてもいい権利はあると思う!!」
涙を流しながら大声を上げる姿はさぞ滑稽で、言っていることも支離滅裂だったかもしれないけれど、それでも少し前の自分とは違う。勇気をもって扉を開けた私は、やっと、自分の物語を自分のものにしようともがいている。建真のいいなりで馬鹿にされていたあの頃の自分とは違う。
私は、勇者ノリミだっ!!
「お前が、お洒落?」
しかし建真はそんな私の姿を見て、フン、と鼻で笑った。
「無駄なことに使うなよ。金をドブに捨てるようなもんだろ。やっぱ俺が管理しなきゃな」
建真はそのまま財布を私に向かって投げつけてきた。バシ、と私の体に当たって財布が床の上に落ちて中に入っていたポイントカードなどが散らばった。
「暗証番号は?」
「建真には教えない」
「どうせ今までと同じだろ」
「ちがっ――…」
「お前の顔みりゃわかる。紀美はわかりやすいからな。バカだから」
――建真が『新しいキャッシュカード』を奪った!
――紀美は『新しいキャッシュカード』を失った!
さぶれ-SABURE-
1,019
さぶれ-SABURE-
589
#大人ロマンス
煉彩
222
#不倫
設楽理沙
759
「二度と俺に盾突くな。今度こんな真似したら承知しないぞ」
――戦闘終了
今、なにもできなかった自分が悔しくて、ぎゅっと握りこぶしを固めた。
ただ、確実にレベルアップしている。今までだったらトラブルを恐れて言い返せなかった。ただ、建真のいいなりだった。
でも、もう違う! 今までの私じゃない!!
建真…今に見ていなさい。
もっと力を付けて、あんたは絶対、私が倒す!!!!
――根性が上がった
――力強さが上がった
――勇気が上がった
――怒りがマックスになった
――紀美はレベルが上がった!
コメント
1件
いやー、今回も熱かった!建真のクソっぷりにイライラが止まらなかったけど、それ以上にノリミが「勇者ノリミだ!」って叫んだシーン、本当に胸が熱くなったよ🔥 お金の管理とか、モラハラ気味のDV描写がリアルで、ただの復讐劇じゃなくて内面的な成長がちゃんと描かれてるのが好き。レベルアップの演出もゲームっぽくて萌えるわ。 次の話も絶対読む!ノリミ、倒してやれ!!🔥