ドアを押し開けた先でふたつに結った髪が風に揺れた 。
肺に取り込んだ空気に何処からか春の香りが混じっていて心地が良かった 。
「 羽優 、 おはよ 」
朝1番に聴く君の声は何時も以上に澄んで聴こえる 。
「 おはよ 笑 」
何処に行くつもりか分からずとも君の隣に居るだけで心が踊る 。
「 ねえ 、 何処行くの ? 」
‘ デート ’
そんな言葉が脳裏に浮かんでは泡のように消えて 、 ひとり舞い上がる 。
「 此処 」
短い返事と共に視界に入る可愛らしいキャラクターが描かれた2枚の紙 。
夢の国とやらのチケットだった 。
「 嘘 、 ほんとに ? 」
「 行きたくなければ家族と行きますけど 」
疑う私に不貞腐れてそっぽ向く彼 。
「 私は彼氏と行きたいけどなぁ 、 」
拗ねた様な声で言ってみる 。
もうひと押しだろうか 。
態とらしく彼に横目で視線を送る 。
「 もう俺の負けだよ 、 笑 」
苦笑する君の眼に映る私は嘸かし嬉しそうだっただろう 。
偽りでもごっこでも無い 。
顔まで嘘を吐くなんて私には出来やしない 。
恐らく純粋無垢な好意だ 。
「 仕方ないから俺の奢り 」
そう言う也 、 数歩前を歩く君は顔だけ此方に向けて手を差し出した 。
私には其の差し出された手を離さなければ君とずっと一緒に居られるような気がした 。
勘違いだとしても信じていた 。
「 好きだなぁ 笑 」
思考回路を要さず 、 唯伝えたくなった事を伝えた 。
君は耳を紅く染めるだけで何も言わなかった 。
電車に乗ってからは互いに何に乗りたいか 、 何を食べたいか 、 そんな事を只管話していた 。
車窓から見える未だ太陽が昇り切らない空模様に君への想いを重ね合わせては僅かに目を細めた 。
「 カチューシャ付ける派 ? 」
「 杜真限定でお揃いにする派 」
「 可愛い返事してくんな 」
「 カップルでやる奴が良い 」
少し前に友達が送って来た恋人との写真を魅せて ‘ 此れやりたい ’ と 言ってみる 。
「 意外とそういうの好きだよな 」
「 なんか 、 憧れてたんだよね 」
高校に入ってからは特に周りが変わり始めた 。
女の子の友達は皆 、 恋人が居てデートをしてキラキラ輝いて視えた 。
今の私は君にとって輝いているのか 、
そんな事を考えながらひとつ欠伸をした 。
コメント
14件
杜真くんと居る時の羽優ちゃんがとことん可愛くてすき!! 前話での‘ 腐った思考回路 ’なんてぶっ飛んだんじゃってくらい羽優ちゃんって杜真くんの事好きなんだよなあ(( ? ずっと此の儘で居てくれ定期なんだけど()
私も彼氏とディズニーランドデートしたい。まぁ、まずは彼氏を探すとこからなんだけど、←
こんな青春含めて全てが夢の国(? ゆったりとした時の流れみたいな、!!好きです🤦🏻♀️ 羽優ちゃんのおねだりとか壮真くんの「もう俺の負けだよ」とか可愛すぎてきゅんきゅんしまくり()