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そして、僕と小出さんはコスプレエリアにやって来た。
「うわあー。コスプレしてる人でいっぱいだね」
青い空が見える屋外。学校の屋上のようなそのエリアでは、様々なコスプレをした男女――レイヤーさん――が各々ポーズを取ったりしていた。そして、そんな人達を撮影するためにカメラを持った方々がレイヤーさんを囲んでシャッターを切っていたり、そんな様子を鑑賞したりする人達で溢れていた。
ちなみに。コスプレをしている女性と男性の比率は6:4くらい。それにしても、真冬のこの寒さにも関わらず、ほとんどのコスプレイヤーさんが薄着のコスチューム姿なのには驚いてしまった。皆んな寒くないのかな? 僕はめっちゃ寒い。
「すごいね小出さん。コスプレの文化ってこんなに盛り上がっていたんだね。全然知らなかったよ」
「うん、そうなの。最近では軽い趣味として気軽にコスプレする人も増えてるの。私もそうだし」
言いながら、小出さんはふわふわしたドレス調のスカートを両手でぱたぱたさせてみせた。ピンク色のウィッグをして、しかもほんのりお化粧をしてるからパッと見お人形さんみたいだ。
というか、小出さんのコスプレの再現度が本当に高いなあ。コスプレ元の『かつらちゃん』というキャラクターは中学生だけど、小出さんて童顔だし背も小さいからハマり役である。
もし『かつらトレタ』が実写化されたら、ぜひとも小出さんを起用してほしい。そう思えるくらいにまんま『かつらちゃん』だから。
「ど、どうしたの園川くん? そんなにジッと見られると、は、恥ずかしいよ……」
僕の視線に気付いた小出さんは、顔を赤くしながら両手でふわりとスカートを抑える仕草をした。恥ずかしがってる小出さん可愛いなあ。
「うん。小出さんのコスプレ、改めて似合うなぁって思ってね。とっても素敵だよ」
「はわっ! す、素敵じゃないよ! ちょっと恥ずかしいし。でも、ありがとう……」
熟したトマトみたいに真っ赤な顔で、小出さんは嬉しそうに僕の手を握り、そして、恥ずかしいのか視線を下げてもう片方の手でスカートをいじり始めた。
「どういたしまして。でも本当に似合ってるし、可愛いし」
「か、可愛いって言われ慣れてないから……くすぐったいね。でも園川くんにそう言ってもらえると、やっぱり嬉しい」
お互い非日常の衣服を纏いながら、僕達はそんな会話を交わし合った。
寒空の下で、胸に温かなものを感じながら、僕は小出さんとの日常に改めて感謝をした。
小出さんがいたから知ることができ、この光景を見ることができたんだから。
【続く】
設楽理沙
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