すべてが終わった、深夜の静寂。
あの“メルクスコリピクス”が、なぜ結界内の町に現れたのか――その理由はいまだ不明のままだ。
ギルドが結界の状態を確認したが、欠損や干渉の痕跡は一切見られなかったという。
保健室の教師が報告を受け、教師が現場へ急行。
そこに残されていたのは、内側から鋭利に串刺しにされた“メルクスコリピクス”の亡骸のみだった。
誰がやったのか、どうやって殺したのか、答えはなかった。
「――あの方は、大丈夫ですぞ?」
「今は眠っておるのじゃ」
「“神”の者たちは……?」
「心配要らぬ。奴らは、あの方だけを監視しておる。まだ、ワシが“何者”なのかは気づかれておらぬのじゃ」
その会話は、ルカの家の地下――
アオイですら存在を知らない部屋で、ひそやかに交わされていた。
「して、どういうわけか聞くのじゃ、一体お前が居てどうしてあんな状況に?」
地下は机とイスしか無く、ろうそくで部屋を照らしてるので暗闇の部分が多い。
「申し訳ないですぞ、実際神の使徒達はマークしてたのですぞが、あれはまた違う勢力……」
「ふむ、神の使徒達じゃないとなると……魔王の可能性が高いのじゃ」
「魔王の?ですぞ?」
「おそらく、ミクラルが領地にある魔王なのじゃ、あの方の魔力をいち早く感じとり動きだしたのじゃろう」
「しかし、あの方は今出てきてないのですぞ?」
「そこなのじゃが、メルノスクールアドベンチャー科二年の代表の女……あやつの適正魔法があそこでたまたま発動したのじゃ」
「ほう?なんの適正魔法ですぞ?」
「……『チャーム』なのじゃ」
「なるほど……つまり、あの方の近くで『チャーム』を使ったのであの方の常時発動している『魅了』と混じりあい、あの方の魔力が『チャーム』を中和しようと漏れて、それを感じ取った魔王の手先メロクスコリピクスが姿を現したということですぞ?」
「のじゃ、『チャーム』を発動させた本人はまだ気付いておらんのじゃ、本当に本人にとってたまたまだったのじゃろう」
「しかし、まだ入学してそれほど経っていないのにここまで嗅ぎ付けるとはですぞ……」
「今後も良く注意しておくのじゃ、ワシもお主も大役をあの方から任されておるのじゃ、失敗は死ぬことを意味するのじゃ」
「我輩はあの方に殺されるなら本望……むしろ死ぬ時はあの方に殺されたいのですぞ」
「無駄話は終わりなのじゃ、あまりベラベラと喋るとどこで神が見ているかわからないのじゃ」
「御意ですぞ」
「では、お互いに仕事を果たすのじゃ……」
「「全ては『女神』様のためにのじゃ」ですぞ」
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