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教会前の広場には、参列者が新郎新婦の登場を、今か今かと待っている。
美花と本橋夫妻は、広場の隅に立っていると、教会の鐘が鳴り響き、大きな歓声に包まれた奏と怜が現れた。
石造りの階段を、ゆっくりと下りながら、フラワーシャワーと歓声を浴びる二人だけど、さり気なく奏を気遣う怜は、まるで中世ヨーロッパの騎士。
(うわぁ…………れいチェル、おにーさんの弟だけあって、カッコいいなぁ)
広場で参列者と写真に収まる奏と怜を見やり、ぼんやりと思う。
(あ……そういえば…………おにーさんは……どこだろう?)
美花が広場を隈なく見渡すと、彼女から大分離れた所で、圭は花婿と花嫁を見守っているようだった。
「奈美、旦那さん、美花! 一緒に写真撮ろうよっ」
奏が手招きをしているのを見て、美花は本橋夫妻とともに、新郎新婦の元へ向かった。
「奏、葉山さん、おめでとうございます! もう私……感激しちゃって…………」
「怜、奏ちゃん、ご結婚おめでとうございます。一年前の俺たちの結婚式で出会った二人が、俺たちと同じ会場で結婚式を挙げるなんて、感無量だよ……」
奈美は泣き笑いの表情を映し出し、豪は穏やかに微笑む。
「かなチー、れいチェル、おめでとうございますっ」
美花も声が弾み、幸せオーラ全開の二人が尊く見えた。
「奈美、旦那さん、美花。お忙しい中、ありがとうございます」
「豪、奈美ちゃん、美花ちゃん。今日はありがとうございます」
笑顔の花を満開にさせている新婚夫婦に、ほっこりとした何かが美花の胸中で満たされていった。
五人で数枚ほど写真を撮り終えたところで、式場スタッフが近付いてきた。
そろそろ移動の時間なのかもしれない。
(新郎新婦も忙しいんだなぁ…………)
笑顔を輝かせている奏と怜に眼差しを向けている美花は、朧気に思う。
「美花」
「え? なっ……何?」
ぼんやりと考え事をしていた美花が、奏の呼び掛けでハッとする。
「…………これ。受け取ってくれる?」