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地下室の重厚な鉄扉が閉まり、中也の足音が完全に途絶えた
完全な静寂が支配する世界で太宰は椅子の背に深く頭を預け、結露した天井の一部を見つめていた
手首を固定する枷の冷たさとそれとは対照的に内側から突き上げてくる異物特有の熱が太宰の感覚を鮮明にさせていく
「………ふふ、中也も随分と……幼稚な真似をするものだね」
太宰は強張った喉からどうにかいつもの皮肉を絞り出した
だがその声は微かに震えている
中也が最後に「お前へのプレゼントだ」と笑って仕込んだその道具は太宰がこれまで経験したことないほど精巧で執拗だった
内壁を一定のリズムで叩く振動
それはまるで太宰の体内に中也の心臓がもう一つ増えたかのようなおぞましくも抗いがたい感覚だ
「……っ、ふ………ん………」
開始から一時間が経過した頃
道具の振動パターンが変化した
単調な刻みから波打つような不規則の震えへ
深部を抉るように回転し、逃げ場のない粘膜をじわじわと確実に攻めていく
「あ…………ぁ………っ」
太宰は椅子の上で小さく身を捩った
だがその動きがさらに内側を刺激し、火花が散るような衝撃が脳髄を突き抜ける
中也が「動けば動くほどこいつはお前を食い荒らすぞ」と云い残した言葉が今更になって現実味を帯びてくる
モニターが不気味に明滅した
[+1時間]
「……おや、外の連中は……よほど私の崩れる顔が見たいらしい……」
太宰の瞳が潤み視界が僅かに歪む
中也の息遣いを感じないこの孤独な空間で内側の無機質な振動だけが太宰に「支配されている」という事実を突きつけていた
まだたったの2時間
けれど中也のいない空白の時間と休みなく身体を侵食する道具の熱に太宰の鉄壁の理知は早くも最初の綻びを見せていた
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