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箪笥や机などを置いてある隣室に行き、棚の引き出しの中から蜂蜜の入った小瓶を取り出す。地上と違って蜜が痛む心配がないので、こういった貴重品はのんびり少しづつ味わうべきなのだろうが、コレを利用してまた彼と接吻が出来るかもと思うともう一気に使い切ってしまいたいくらいに気持ちが高揚してきた。
肌に垂らして舐め取るのも捨てがたい。乳首やヘソなんかにかけたらきっともっと美味しいのだろうな。焔の魔羅に垂らしてソレを舐めるとか……想像するだけでものすごく興奮出来る。
小瓶をギュッと握りしめ、妄想をひとまず中断した。
期待はし過ぎない方がいい。彼はまだまだ子供だ、まぁ……それは僕もだけど。でも僕とは違って性を微塵も意識してすらいない年頃だろうし、焦らずじっくりいこう。でも今から少しづつ触れ合っていたら、そのうち僕だけを好きになって、いずれは伴侶とかになってくれたら嬉しいなぁ。
「——竜斗?さっきからどうしたんだ?ぼぉっとし過ぎじゃないか」
着物の裾をぐっと下に引っ張られ、思考の海から一気に浮上する。
「ごめんね、色々その……ね」
「コレが蜂蜜か。綺麗な色だな」
黄金色をした蜜を眺め、ちょっと紅焔の頬が染まっている。金銀財宝でも見るかのような雰囲気がやっぱり可愛い。
「金色が好きなの?」
「もちろん。多分鬼ならみんな好きだと、思うぞ」
自信無さ気に頷く姿がコレまた可愛い。もう紅焔が息をしているだけで可愛いとか思いそうなくらいに、彼の全てが全て愛おしい。
「コレを飲ませてくれるのか?」
「うん。あ、でもね直接飲むのは……それこそ龍神様の加護が強過ぎるかもしれないだろう?」
「まぁそうだな」
昨日既に直で飲んでも支障は無い事は立証済みなのだが、紅焔の危惧にのっかってみる。
「此処に座ってくれる?紅焔」
机の前に置いてあった座布団を引っ張り、彼の前に敷く。頷きながらそこへ座り、紅焔は正座をしてこちらを見上げた。
「僕が一度この蜂蜜を口に含むから、口移しで紅焔に飲ませてあげる」
「……な、何でだ?」
ギョッとした顔をされ、少し傷付いた。
「ほら、歳の近い僕を介する事で加護の力を弱めるんだよ。そうしたら『鬼』である君も安心して蜂蜜を飲めて、力もつくって寸法だ」
「なるほど」
素直に信じて頷いてくれる。鬼なのに疑いを知らないとか、鬼母神はなんて素晴らしい育て方をしてくれたんだ。
「じゃ、じゃあ……軽く口を開けていてくれる?……そう。じゃあ少し上を向いて、正面を見たままだと、端から垂れちゃうかもしれないからね」
「ん」と言いながら紅焔が軽く上を向いてくれる。うっすらと開いた唇が、まるで早く口付けてくれと催促しているみたいで心が躍る。
「そのままでいてね?逃げちゃ、駄目だよ」
にっこりと笑い、瓶に口を付けて蜂蜜を口に含む。『変態っぽいかな』と思いながらも、唾液がダラダラと溢れ出し、ついつい口内でそれらを混ぜてしまう。こんなモノを幼い紅焔が腹の中に飲み下していくのかと考えるだけで、興奮が止まらない。背徳感がむしろ心地いい。
ゆっくりと近づき、唇を重ねる。その瞬間ビクッと激しく紅焔の体が跳ねたが、逃げたりはしなかった。
薄っすらと開いている唇の隙間に舌を軽く入れ、それを伝って紅焔の口の中に唾液の混じった蜂蜜を流し入れていく。すると紅焔は昨日と違って、起きている故にヒクヒクと体を震わせ、僕の着物にしがみついてくる。彼の吐息が乱れ、体から力が抜けているのがわかる。そのせいで肩がなだらかになり、でも必死に甘い味を求めて舌が蠢く感覚がとても淫らなものに思えてきた。
呼吸が苦しくならないよう、たまに口を離すと「んあ」だなんて甘い声をこぼしてくれる。精通だってまだまだだろうに、快楽には弱そうだ。しかも淫靡な空気を漂わせてしまうだなんて、イケナイ子だなと考えた瞬間、僕の口元がニヤリと弧を描いでしまった。
「美味しいかい?」
「う、うん」
「素直でいいね、可愛い」
頰に手を添えて、また唇を重ねる。もうあんまり口の中に甘みは無いかもしれないが、唾液だけはたっぷり出てくるので、それを一方的に分け与えた。なのに紅焔は『コレは違う』と文句も言わず、ごくごくと僕の唾液だろうが美味しそうに飲んでくれる。もしかして僕の唾液も紅焔の力になっているのだろうか?
「もっと飲みたい?」
「の、飲みたい……」
コクッと力無く頷きながら、嬉しい事を言ってくれた。
「いいよ。もっと飲もうか」
んーと言いながら唇を重ね、唇を軽く吸い、舌を甘噛みしつつ唾液をまたたっぷりと飲ませてあげる。母乳を欲する赤子みたいに紅焔が僕の舌をチューッと自分から吸ってくれまでした。そこまで進んでしてくれた事が嬉しくなり、調子に乗って僕は、紅焔の着物を開いて胸にそっと触れてしまった。
「へ?」と言いながら、バッと紅焔が離れてしまう。
けどもう僕の感情が昂り過ぎていて止められず、紅焔の体をトンッと押して、彼の体を畳の上で仰向けにして寝転がらせた。
「……竜斗?」
「じっとしていてね?大丈夫、元気にしてあげるだけだから」
紅焔の小さな体に覆い被さり、啄むみたいに彼の白い肌へと口付けをしていく。
「吸っても何も出ないぞ?」
「そう?でも美味しいよ、紅焔の肌は。白いはずの肌が赤くなっていって、まるで熟れた果実みたいだ」
「果実みたいなのは、竜斗の方じゃ、ないかな……吾は違うよ」
顔を僕から背け、カァッと真っ赤になりながらも嬉しい事を言ってくれた。
「じゃあ、紅焔が僕を舐めてみる?もしかしたら、僕の力を分けてあげられるかもしれないし」
「え……あ、えっと」
ひどく動揺しているけど、嫌がっている感じでは無い。なので僕は紅焔の体をぎゅっと抱きしめて、そのままゴロンと転がり、攻守交代するみたいにうつ伏せ側に回った。
「好きに舐めていいよ」
「な、舐める?」と言って、ごくっと紅焔が生唾を飲み込んだ音が聞こえた。幼かろうが、三大欲求はしっかり持っているのだろう。
「これで本当に、吾は元気になれるのか?」
重なる胸と胸から激しい鼓動が鳴り響く。紅焔も相当緊張しているみたいだ。
「僕だって子供だろうが神の端くれだからね、沢山元気にしてあげられるよ……(多分、だけど)」
紅焔が小さくって助かった。僕の魔羅が丁度彼の脚と脚の隙間に位置していて、上手いこと元気になっている事がバレずに済んでいる。だけどいっその事気付かれて、そこまでもを舐めてなんてくれたら、それはそれで幸せかもとか……高望みしてしまう僕は年上として終わっているな。
「じゃあ……首とかいい匂いがしていて美味しそうだから、舐めて……みるよ」
恥ずかしそうに言いながら、恐る恐る肌をペロッと小さな舌で舐めてくれた。かなりくすぐったい。まるで子猫が戯れているみたいで性的には興奮しないが、甘えてくれる事が心地良くって存分に好き放題させてみた。
長々と必死に僕の肌を舐めてくれ、肌や髪に舌や札が沢山当たる。僕の胸にすがりつきながら啄むみたいに吸ったり、噛み付くみたいな勢いで強く吸ってくれたりもした。父に気付かれてしまってはまずいので『跡とかが残っていたらどうしよう』と少し不安になるけれど、痕跡があったらあったで嬉しくもなってしまいそうだ。
夢中になっている紅焔の舌が首を伝い、段々と下におりてくる。これ以上おりてこられては勃起した魔羅にぶつかってしまうので、ぎゅっと彼の体を抱きしめ、慌ててその動きを止める。これ以上愛撫みたいな行為をされては、本当に理性が吹っ飛びそうだ。
体を起こし、少し離れて、僕の前に紅焔を座らせた。
「……どうしたの?嫌、だったのか?」
不安に瞳が揺れていそうな声が胸を苦しめる。
ただ魔羅が勃起している事を悟られまいとしての行為だとも言えず、ただ「今日はここまでにしておこうか」とだけ言った。
本心としては舐めていてもらいたい!魔羅も含めて全て、全身たっぷりとっ。
だけど、僕以上に子供な紅焔に、無知なままこの先の行為までさせるのは気まずいなんてもんじゃ無いので、理性を全開にして無理矢理諦めた。
「ちなみに、嫌どころか……すごく気持ちよくって驚いちゃったよ。そんなに僕の肌は美味しかったの?」
軽く困り気味に訊くと、「……汗が、美味しい」と焔が呟いた。
「舌も、唇も甘いし……ずっと喰べていくなった」だなんて言われて、僕はその場に崩れ落ちてしまった。
「大丈夫か?竜斗っ」
焦った様子で紅焔が僕の肩を揺すってくる。急に畳の上に倒れた事に驚いたに違いない。
「大丈夫……大丈夫だけど」
「ん?」
「口付けだけは、もうちょっとしようか」
「……っ」
言葉を詰まらせ、紅焔が口元を引き結ぶ。
だけどゆっくりと彼は頷き、薄く口元を開きながら僕の唇に上から覆い被さってきてくれた。くちゅくちゅといやらしい水音を部屋の中に響かせながら、子供同士なのに大人みたいな口付けを交わし続ける。
コレが体の成長の為なんかじゃなく、本来は恋人同士のするべき行為なのだと、出来るだけ長く紅焔が気が付かないでくれますように——と、僕は口付けの間中ひたすら願い続けたのだった。
【番外編② 初恋は蜜の香り・完結】