テラーノベル
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「共倒れなんて最悪だな。」
誰かの声が聞こえた。目を開くと木造の空間だった。当たりを見ると棚に沢山分厚い紙の集合体、本がぎっしり詰まっていた。
目の前には、見覚えがあるようなないような紺色の髪をした男性が私を腰を低くしながらじっと顔を覗いている。
もう一回寝ようとした時、顔を叩かれて起きた。頬がヒリヒリするから叩き返した。おかげで目が覚めたから欠伸をし、立ち上がった。
私は確か死んだはずだった。なのに、私は今感覚もあるし、普通に生きているような感覚もある。辺りを見渡すと、3号の姿があった。
「3号…?」
「…あいつは、3号だが、精神に多大な負担を負ったせいでこの空間に来た時から全ての記憶が消失してな。現世に戻った時にまた戻してやるが。」
「どういうこと?…ここは…、どこ?」
「澪さんは冷静で助かる。」
「澪?私はそんな名前じゃ…」
「すまんすまん。こっちの話だ。」
どういうことなのかさっぱり分からない。この空間の3号は精神的ショックで何も出来なくて、それで彼は3号も私も知った口振で、私のことを澪さんと呼称している。
でも、おかしい。私の親族にもそれらしい名前はなかったはず。どうして、私を澪という名で呼ぶのか、意図がわからない。
「世界がバグったんだ。巻き戻しすぎて。」
「巻き…戻し…?」
「三千回。」
「さん…ぜん…?」
「三千回繰り返している。」
世界が巻き戻されてるのはわかった。けれど、私たちは三千回同じことを繰り返しているの?一体何が目的で?この結末を認めないものがいるとでも?
一体何が起きているのかわからない。私は今までずっと、繰り返していた。そう言いたいの?
「詳しく言えば、お前さんは何度もいつもと少し違う自分を繰り返しているんだ。だから、起点から大きく展開がわかることだってある。」
「起点?それは…、繰り返しの?」
「あぁ。お前は、その”起点”から始まっている。いつも、結末は違う。…それに、この空間からほとんどの人間は記憶を喪う。お前でさえも。…だが、バグのせいであなたは今も記憶を維持している。」
なんて難しい事を言われても困る。どうして、彼は私にその事を教えてくれるのかも。私に何を期待しているのかわからない。なぜ彼は…。
なんて、思っていた時、彼は私の目の前へ生き、じっと見つめたあとに頭を下げた。
「お願いだ。異星人との戦争を終わらせればまた同じ結末を招く。この世から、エーテルを消し去ること。それが、最善策だ。頼む、協力してくれ。」
エーテルを消しされば、私たち兵器としての価値はなくなる。けれど、異星人もただの人間と同じになる。それに、私たちは兵器じゃなくなれば同等の人間としての扱いを求められる。
なら、結末は変わるかもしれない。唯一、利用出来る宗教集団は、アウス教と敬虔教。条件はかなり厳しい上に、仲間を獲得することもむずかしい。けど
「…私は、皆を助けたい。…その前に、あの子に言っておきたいことがある。」
「あぁ、いってこい。」
#恋愛
ばたっちゅ
4,526
215
#BL
NGS_ヘビーなしっぽ
204
2号は3号の方へ行く。3号は未だに自分が何かわからずに苦しんでいる様子だった。その3号を、2号は黙って抱きしめた。
記憶も名も忘れて不安だろう。でも、言葉すら、苦しいという気持ちすら誰かに伝えられない恐怖が、3号をまた、苦しめている。
だから、私はその凍えた体を抱きしめて、放さなかった。どれだけ、冷たい言葉を浴びてきたか、何となくわかっていた。だから、意味はわからなくても、彼に暖かい言葉を伝えたかった。
「私は、君といたあの日常が好き。…私は…、君の事を、見放したりしない!!君が笑えるような世界を作ってみせるから…!!」
言葉も発せない、理解できない少年。傷は二度と癒えはしない。そう、決められていたようだった。癒えなくてもいい、生きてくれることがなにより、君がいしてくれることが何より、私にとって嬉しいのだから。
「君とのあの日の事も、忘れない…!!君の本音も、絶対!!忘れはしないから!!!」
君にあの時、死ぬなと。私は死なない。けれど、君にも、簡単に死ぬという選択は選ばせない。こんな世界でも…。
「今度こそ君に、この世界で生きていきたいって思わせるように頑張るから…!!!…君を…必ず救ってみせる…!!だから!!!」
「自分を…大切にして…。」
「私は…君を……愛している。」
私は3号を話さずに居た。3号は少し落ち着いたのか腕の中で眠っていた。3号の記憶が無いのも、この結斗とやらの能力に縛られているからだろうか。
結斗は、しゃがんで私をじっと見つめる。私は、この人を知っている。…喋ったこともない、見たこともない相手なのに、なぜか私は知っていた。
「3号を助けたいか。」
ただ、頷いた。すると、結斗はニコッと笑い私と3号の肩を掴み、ポンポンと叩いた。こいつは一体なんなんだろうか。
「俺もな、一番身近な人間に命を狙われた。けど、そいつは最初っから人間じゃなかった。脳みそ以外、機械だったんだよ。」
「…あなたは、一体…なんなの?」
「半分異星人みたいなもんだなー。…アイツらと同じ力がある。世界を巻き戻す、けれど、それは歪みを産んで本来なら居た人間が死んでいたりする。」
つまり、歪みがある限り、私の知っている未来は確定ではないってことか。それに、脳以外が機械な人間なんて本当にいるのかわからない。
そんな技術力なんてあったのか、わからない。それに、なんで彼が世界を巻き戻しているのかわけがわからない。
「一つ提案なんだが。」
そう持ちかけてきた。理不尽な提案だったら突き返した後にぶん殴ってやる。そう思って頷いた。
「…俺をここから出してくれるなら、巻き戻りの起点を変更できて、この力を好きに使うことができる。ってのはどうだ?」
「…いいけど。何すればいいの?…言っとくけど変なこと考えようものなら殴るから。」
「考えやしねぇよ。ただ、妻に会いたいだけだ。わかったかガキが。」
こいつに妻居んの?こいつなんかに?いや別にイケメンじゃないことはないと思うけど、わがままそうだし、口悪そうだし、態度大きいし、人のことガキ扱いするし。
世界は分からんもんだ。けれど、どうやってやるのかはまだ分からない。条件としてはまぁ、いいものだけど、無理難題吹っかけられたら期待損。
「簡単なことだ。お前の頭に住み着くだけだよ。」
「なにそれ気持ち悪」
「るっせぇな!!口調がちっと変わるかもしれんが、体や意志やらには特に影響は出やしねぇよ!」
「そう。いいけど、それなら最後まで付き合ってもうからね?」
「当たり前だろ。これ以上観測するだなんてごめんだ。」
結斗はそう言うと、手を差し出してきた。手を取って初めて契約成立と、そういうことだろうか。まぁ、この男は好きに人の体を行き来出来るかもしれない。でも、それをやってこなかったって事は、少しは信用してもいいのかもしれない。
「わかった。必ず、私たちで救う。」
「もちろんだ。」
私は、差し出された手をそっと掴んだ。
[1694回目]
頭にはその数字が出てきた。目の前に映し出されたのは、私の死体だった。そう、6月17日、3号は私を殺した。1694回目の世界で、3号は私を殺せた。
けれど、頭が狂ったのか、発狂しながら辺りの虫や動物にまで剣を振り、ついには何も無い場所に剣を振りながら泣きじゃくっていた。
「あ”ぁぁぁぁぁっっ!!!僕はまた…!!僕は僕は僕は僕はぁぁぁぁぁっ!!!」
見ているだけで胸が張り裂けそうだった。これが、結斗、君が見てきた今までの私たちの姿だというなか。この狂気を、何百年と観測し続けたのか。
[4回目]
次に見えた光景は、いさとが3号に殺されている光景だった。最初はどういうことかと目を疑った。だが、頭に流れてきた情報で確信した。
私たちは、最初から死ぬ為だけに作られたのだと。コアのデータを複製し、意志のない兵器を作る、そのためのプロトタイプに過ぎなかった。
88号は、意志のない兵器として使われていたのだ。そこには、130号と133号、134号の死体、7号の死体も転がっていた。
3号は、私を…、2号を庇って心臓を刺されていたのだ。4回目な世界では、私は3号たちと逃げていた。あの機関から逃げていたんだ。
「3号…、皆………。わた…し…は……。私……は…。」
[2089回目]
次に見えた風景、それはただ私と同じ顔に殺されていた。トコイだ。あの幽魂の樹木の下で、133号と、1号が倒れていたのだ。
けれど、自分はトコイの鎌によって刺されていた。トコイの横にはイェルが居た。2089回目の私は、とトコイによって、殺されていたのだ。
[3108回目]
「行かないで!!!行くな…!!イェル…!!!」
どうやら、私とイェルが相打ちしたみたいだった。私は意識が朦朧とした中で、見えたのはイェルを揺すって泣きじゃくるトコイの姿だった。
性に合わずに仲間なんて作るからだ。トコイは、声を上げながら泣いていた。どうしてだか、この子の気持ちが今、私は痛いほどわかった。
「私は…、もう…一人じゃないか…!!!お願いだから…、私を一人にしないでよ…!」
[2937回目]
「2号、…大丈夫…僕が……守るから…。」
3号は瓦礫に押しつぶされた私を守るようにして歩いていた。向こう側には、沢山の敵が私たちを狙っている。敵、…かつての仲間だった。
134号や1号、133号、86号。人形のようになった彼女らが私たちを殺しに来ていた。この時間軸の私は、前回の記憶を覚えていたのだ。
けれど、失敗した私だ。3号の方に手を伸ばすが、当然のように届かなかった。3号は、最後に私に微笑みかけ、私の事を守ろうとした。
「私が…!!囮になる!!逃げて…!!自己犠牲なんてバカなこと…しないで…!!!」
「ちがうよ…。僕が守りたいんだ…。今度こそ…、僕に守らせて!!もう…、二度と繰り返さないためにも…!!!」
3号も同じように、私と同じように覚えていた。前回の世界を。けれど、3号は結局あの意志のないかつての仲間に刺され刺され刺され続けた。
それでも、最後まで彼は諦めずに私を守ろうとした。心臓を刺されてもなお、首が切られるまで立ち上がり、最後まで戦っていた。
私は敵に刺されながら、何度も喉が枯れるような思いでこういった。
「今度こそ3号を…!!葵陽を…!!!救ってみせるから…!!!私が…、救ってみせる…!!!」
何度も何度も繰り返れる自身の死。身近な人間の死。何度も繰り返される不幸の連鎖。耐えられないような苦痛の日々。何度も、あの任務の日から繰り返されていた。
何百、何千と繰り返された果てしない時間。私は、だんだん、自分の存在に疑問を抱いた。何度も頭に流れる不幸の連鎖。
これが、結斗の見てきた光景だった。私たちは何度も死に、世界は何度も繰り返される。そんな日々が刻々と繰り返されていく。
『然るならば、貴女が会者定離に呑まれぬよう。』
『然るならば、貴女が贖罪を果たされん事を。』
『然るならば、貴女がこの因果を変えられん事を。』
『然るならば、貴女に救いがもたらされんことを切に願う。』
[3918年2月25日/2号]
今の声は一体…。どこか聞き覚えのあるような声、口調、気づけば目の前に3号が居た。
「3号…だよね…。」
私は口から勝手にその言葉を発していた。それは、無意識に出たのか、それとも意識的に出したのかはわからない。
「ここにいるのは自分以外いないじゃないですか。」
聞き覚えのある言葉、見覚えのある光景。本当に巻き戻ったのだろうか。夢やまやかしではなく、本当に。これは、現実なのだろうか。
幻覚だ、そう思い3号の腕を掴んだ。驚いて3号が困惑した顔を浮かべる。3号は、私の手をパッと振り払い背を向けた。
「何してんの。触んないでください。」
敬語の距離感がなんだか悲しい。ていうか、なんか怪訝そうな目で見られて普通に辛いんですけど。けど、まじ戻ったってことは、まだ3号は普通だ。
その事実に思わず涙が出る。そうすると3、号は何を勘違いしたのか焦り始めた。多分、今の自分の態度で傷つけたのかと思って焦ったんだと思う。
「ご、ごめん。ほんとに…」
「…違う違う…。ただ、…少し安心しただけ。」
君を必ず救ってみせる。君が二度と、自死なんて選ばないためにも。君が二度と、…死にたいだなんて思わせないためにも。絶対、必ず私が救ってやる。
私が必ず、君を、君たちを。この世から戦闘の火種を消し去って、私は必ず君を助ける。
作者からの感想
これで前半は終わりとなります。次は後半になりますが、後半にすぐ行きたいのですが、残念ながらそうも行きませんものでして。なにしろ、受験生なものでして。そのため、半年程の休載期間を設けたいと思います。なんせ、とんでもなくバカなのでね。なんならこれ書いてるの7月13日ですよ。明日から地獄の日々が始まるので、書くことができないんですよ。後半は方向性が変わるため、ここで投稿するのはここまでとなります。ま、後半は後半でまた違った視点を持とうと思うので、楽しみにしててくださいね!これからね、2号の口調もちょっと凛々しくなると思いまっせっっ!!出来ればハッピーエンドにしたいですね!キャラ殺してぇ衝動がなければたぶんみんな生き残ります!!多分ね多分。私個人としての作品についていませてもらいますと、かなり大変でしたね。書いてる途中でキャラの視点に立とうとして泣いたりね、考えると変な感覚というか、奇妙な感覚に見舞われることがあるんですよ。それに、一話一話書くの時間かかるんですよすごく!!しかも書きたい!上手くかけた!なんて、思ってる時は大体テスト期間ですし。キャラ多すぎて口調混ざったり、説明下手くそになったり!!そういうことがあるのでほんとに、もう困るんですよ。あと、後半はあんまり登場しなかったキャラが結構出番回ったり、結構生き残ってたキャラがすぐ死んだり、すぐ死んだキャラが大役やるっていう熱い演出をしたいですね。あとは、アンドロイドのプロトタイプも出すつもりなので次回作の伏線にもなる、かもしれない。後半ルートがあるから、次回作は成り立ちますのでね!楽しみにしててくださーい!それでは鬱くしい作品を作れるような修行を積みます。然るならば、貴女達が良い運命に出会わん事を願っております。なんつってな!ばいね〜!!!!
コメント
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37話読みました…!「三千回」の繰り返しに鳥肌立ちました。結斗と契約して見せられた数々の死の記憶、特に3号が何度も自分を守って死んでいくシーンが胸に刺さって……。それでも「救ってみせる」って誓う2号の強さに泣けました。前半お疲れさまでした!受験勉強との両立、体調気をつけてくださいね。後半の2号の凛々しい口調も楽しみにしてます!