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かな「……」かなの声と顔は、真剣になる
かな「…りさ、私も協力する」
かな「…日傘ちゃんに被害がいったら困るし…」
そういいながら少しの間目を閉じる
りさ「ありがとう、かな、また2週間後」
りさがそう言い、かながうん、と頷くと、電話は切れる
日傘「…あたしは、大丈夫です。」
かな「…ごめんね」
かな「絶対…絶対帰ってくるから」
日傘「…はい!」
かなが日傘の頭を撫でると、日傘は嬉しそうに笑った
日傘との最後が、酷く怖くてたまらなかった
かな
かな「…日傘ちゃん」
かな「いつも、ありがとう!」
思わず涙が溢れて、日傘を抱きしめる
まだ時間はある、せめて大切な妹との日々を大切にしようと、そう誓った
アナウンサー「近頃、AIの発達は急速となっています、3050年頃まで緩やかだった知能の発達は、70年ともなれば容易にヒトを越えられてしまうほど_」
りさ「…はぁ、最近こればっかりね。」
自宅で、退屈な内容ばかりテレビとぼうっと眺める
りさ「バラエティなんて注目されなくなって軒並み消えちゃったし、ニュースは死んだAIの詳細と、心底くだらないシンギュラリティ論争ばっかり…」
りさはテレパシーで、テレビを消す
冷たい廊下を歩いて、インスタント食品を取り出す
りさは壊滅的な生活を送っている
インスタントの食品、2枚ほどしかない皿、洗って雑に畳まれたまま放置された洗濯物_と言った具合に
りさはそれらをよそに、スクリーンを目の前に表示させ、情報を集める
りさ「怪しい団体とか社長の個人情報すら全く載ってないからアテになんないのは分かってたけど_ここまでなんにも見つからないなんて面倒な…」
りさは一人文句を吐きながら、検索を続けた
街の裏路地にある、こじんまりとした図書館に足を踏み入れる
人が特殊な方法で入るところを目撃した男は、腕を改造された少女を背負いながら、”特定の動作”をする
図書室の扉が開き、男が足を踏み入れる
ホログラムで、図書館という名の膨大なデータが構築された
男「…はっはは、広いなぁ」
男は図書室のあまりの広さに、乾いた笑いを漏らす
男「…まぁ、ここでいいだろうな、この奥なら…」
男は独り言を吐きながら、その奥を目指す
奥へ、奥へと進む
進み、端に着く
そこから右を向いてみれば、不自然なホログラムを見つける
男は驚き
男「…これは?」
そう言いながら、男は少女を連れ、不自然なホログラムに近付いた。
男「へぇ、面白い」
男はそう呟いて、笑みを浮かべた。
2週間後
かな「日傘ちゃん…」
当日になれば寂しさが押し寄せ、日傘の手を握る
かな「…行ってくるね」
かなは、家という名の夢の中からまた抜け出すことになる
日傘「…待ってますからね!かなさん!」
日傘は笑顔でそう言った
かな「…行ってきます」
かなは一息置いてそう言って、差し込む冷たな風と暖かな日差しの交わる場所へと足を踏み入れる
見慣れた道を歩く
その道中、完全に壊れたロボットが道端で見つかる
かな「…エイビオ全土で起こってるんだっけ、これ」
小さくそう呟き、残骸を通り過ぎた
一々組織に通報していたらキリが無いのだ、昨日も、今日も、十体は身の回りのどこかで倒れている。
かな「お待たせ、りさ」
整備された大通り、かなはそう言って、ベンチに座るりさの元に駆け寄った
りさはその声を聞くとスクリーンをすぐに閉じ、かなの方を向いた
「そんなに待ってないから、大丈夫」
「うん、ありがとう」
カフェで注文し、適当な2人席に座る
りさ「…目的地は、β地区」
りさ「…かなも知ってると思うし、早速__」
2人が話し合おうとしたその瞬間、耳を劈く1つの銃声が、カフェの中で鳴り響いた
かな「ひぃっ!り、りさ、なんなの!?」
店員「お、お客様!!室内での発砲は他のお客様の迷惑に_!」
「っせぇ!!もう俺には関係ねぇんだよ!!」
男「俺は!前に座ってるこいつに!ロボットを殺された!!」
男「っぅぐ…大切な…大切な家族だったんだ!!!!」
スーツを着た男は泣き、取り乱しながら叫ぶ
何度も、何度も向かいに座る金髪の男の頭目掛けて銃を発砲する
紅が飛び散り、座ったまま机へ倒れた金髪の男、それに目もくれずスーツの男は何度も、何度も
かな「り、りさ…あの人…止めなきゃ…、ね?」
りさ「そうね、迷惑だし」
かな「そっ、そういう問題でいいのかなぁ…!?とにかく行こう!」
かなはすぐに立ち上がり、犯人の背後へ、徐々に徐々にと近付く
りさは即座に通信を繋げ、かなの指示を待つ
かな『私がこの人の背中に突撃するから、うーん…怯んだらスタンガンで動き止めて。』
りさ「OK。」
りさは戦闘時も冷静になれるようになってきたかなに感慨深さを覚えながら、それを待つ
かなは、男から10mほど離れた場所で、様子を伺う
かな (…あの男の人は発狂してる、とっくにおかしくなってる)
かな (ロボット…家族を殺されたんだっけ_)_)
かな (いや、今はやめよう。)
かなはゆっくりと深呼吸をし、ゆっくりと スーツの男の背後につく
そして、その背中目掛け、全力で突進する
ドンッ!!!
鈍い音が鳴り、男が少し悲鳴をあげるとすかさず、閃光が男へ
と向かう
男「ぁあああっああああ!!!」
閃光が男の身体を直撃すれば、男は先程よりも大きい悲鳴をあげ、そのまま気絶した。
りさ「かな、ナイス連携だった。」
りさ (…かなも成長したなぁ)
かな「えへへ…ありがとう」
男に落ち着くよう訴えていた10代後半ほどの女性店員が、りさとかなの元へ駆け寄る
店員は、かなとりさに対し感謝を述べる
店員「ありがとうございます_組織はAI破壊事件に追われてこんなちっぽけな事件に対応してくれなく…!本当にありがとうございました…!」
店員「えっと、店というか、個人的なお礼なんですけど…」
店員「こ、困った時は私にご連絡して下さい!お父さんがお金持ちで、それなりのエージェントでしたら雇うことができると思います…」
そう言って店員は、電話番号を渡す
店員「後お代もいらないです!滞在もご自由に…! 」
そんな店員に
「「…いいんですか!!??」」
二人は同時にそう言った。