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元貴は、
普段はどこか無愛想で、
あんまり多くを語るタイプじゃない。
でも、
たまにこうやって、
何も言わずに隣にいてくれる。
それだけで、
十分すぎるくらい、優しかった。
「……」
音楽が流れて、
時間がゆっくり進んでいく。
そのはずなのに、
胸の奥が、じわっと熱くなる。
——なんでだろ。
さっきまで、
なんとか保ってたのに。
「……っ」
気づいたら、
視界が滲んでいた。
慌てて、下を向く。
バレたくない。
こんなとこ、見られたくない。
袖でそっと目元を押さえる。
声は出さないように、
息だけでなんとか抑える。
「……」
隣を見る勇気はなくて、
ただ、下を向いたまま。
元貴は、
テレビの方を見ていた。
さっきからつけたままの画面に、
視線を向けたまま、
何も言わない。
——よかった。
気づいてない。
そう思った瞬間、
少しだけ安心して、
でも同時に、
余計に涙が出てくる。
止めようとしても、
止まらない。
(……っ、なんで)
こんなことで泣くなんて、
ダメだって思うのに。
止まらない。
そのとき、
ふわっと、
肩に何かがかかった。
驚いて顔を上げそうになるのを、
ぐっと堪える。
それは、
元貴のパーカーだった。
顔は相変わらずテレビの方を向いたまま。
「……風邪ひく」
ぽつりと、それだけ。
気づいてたのか、
気づいてないふりなのか、
分からないくらい自然に。
でも、
その優しさが、
さっきよりもずっと刺さって。
「……っ」
僕は、
パーカーを少しだけ握りしめて、
顔を埋めた。
もう、
隠しきれないくらい、
涙は溢れていた。