豪が予約したダブルルームから望む夜景も、素晴らしかった。
アイボリーを基調とした部屋には、調度品がダークブラウンで統一されている。
ベッドルームには海外メーカーのダブルベッド。
ガラス張りの戸を開くとバルコニーへ繋がり、外からでも都心の夜景が見渡せる。
彼はベッドルームへと向かうと、ポケットからコンドームの小箱を取り出し、正方形のパッケージを二つほど出して枕の下に隠しておいた。
ベッドルームからも楽しめる、極上のナイトスケープ。
この部屋で、奈美を抱くのがますます楽しみになってきた。
一度ベッドルームから出て、彼女の所へ戻る。
「奈美。ベッドルームも夜景が一望できてすごいぞ。でもせっかく来たからバルコニーに出て、夜景をバックに二人の写真を撮ろうか」
「うん、撮りたい!」
ガラス戸を開け、奈美とバルコニーへ出る。
十一月の夜風は、身体の芯まで冷えてしまいそうだ。
美しい夜のパノラマをバックに、豪のスマホを夜景モードに設定した後、上からかざすようにして、小さな肩を抱き寄せた。
「ねぇ豪さん。後で写真送ってもらってもいい?」
「もちろんいいよ。さっきのキス写真もそうだが、これはある意味、奈美のお守りになるからな」
「お守り?」
「そう。他の男が寄りつかないようにするための、男除けな?」
そうだ。
奈美は豪の愛おしい女。
彼と一緒に写っている写真が増える事で、『奈美は俺だけの女』という証にもなる。
二人で笑顔を浮かべてシャッターを切った。
撮り終わった後にチラッと彼女を見やると、夜の陰影と微かな明かりが奈美の顔を照らしているせいか、艶然とした面差しを映し出している。
(…………今すぐ奈美を乱したい)
彼女が漂わせている色香に、豪の淫情が蠢き出した。
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