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ある日雄二が部屋に入って来た
「どうしたの?」
雄二はモジモジして私に言った
「僕・・・・あの女嫌いだ!」
「あの女って・・・美鈴の事?」
雄二はコクンと頷いた、私は意外な雄二の言葉に好奇心が湧いた
たしか雄二は美鈴にゾッコンだったはずなのに
「え~と・・・・私にはあなたがとても継母に懐いているように見えたけど?
(実の姉)が不要なぐらいに?」
これぐらいの嫌味なら許してもらえるだろう
でもなんだか続きを聞くのが怖かった
「いったい美鈴と何があったの?彼女が何かしたの」
私は優しく雄二に問いかけた
「アイツが何をしたかって?・・・・僕の・・・日記を父さんに見せたんだ!
机にしまっていたのを勝手に僕がいない間に取り出して
おかげで・・・僕は・・・・ 」
悔しそうに雄二が続ける
「いきなり父さんに呼び出されて「おい!これは何だ」ってね
自分の立場を承知の上で継母を好きなのかって
酷く僕を怒鳴ったんだ」
その日記には悲しいかな美鈴に恋心を抱いた雄二の切ない思いが
綴られていたんだろう、美鈴はわざと女性に免疫が無い、雄二の初恋を
募らせるだけ募らせておいて、彼女を崇拝している雄二の日記の
内容を父に読ませ、弟の初恋を恥辱のどん底へ付き落したのだ
「おかげで父さんは僕を来年から全寮制の学校へ転校させるって言うんだ
家では危っかしくて二人っきりにしていられないって・・・
美鈴が怯えてるって・・・ちきしょうっ・・・」
「全寮制の学校って・・・あなたもここからいなくなるっていうの?」
「父さんはすっかり美鈴の色キチガイだ・・・僕の言う事も、誰の言う事も聞きやしない
美鈴しか見えてないんだ、だから言ってやったよ!あんな綺麗な美鈴が父さんなんか本気で相手に
するわけないって!財産狙いなんだって!父さんがさっさと死ぬのを待ってるんだよ
僕もこんな家うんざりさ、喜んで出て行ってやる!」
「そんな!ダメよ!家族は一緒にいないと」
フンッと雄二が鼻で笑った
「もう姉さんもいい加減気付けよ、母さんがいた頃には戻れないんだ」
そして雄二は俯いて力なさげに呟いた
「この家は美鈴が来てから狂った・・・・
もうとっくに壊れているんだよ」