本当は帰りたくなんてなかった。
もっとずっと浩太と一緒に居たいと思ってしまった。
でもそれは敵わないことだということを私が一番知っていた。
だって浩太には森田さんが居る。
今日、誘ってくれたのだって、たまたま私の会社の近くに用があって、たまたまタイミングよく私を見かけたからで、特に深い理由なんてない。
分かっている。
浩太にとって私はただの友達だと。
でも、ついつい期待してしまう。
こんな風に危ないからとアパートの前まで送ってくれたりしたら。
胸の高鳴りを覚えながら、カーテンの隙間から帰ってゆく浩太の後姿をソッと盗み見る。
「振り向け」
馬鹿げた念を送ってみる。
これで振り向いてくれたら少しは私にも可能性がある、なんて昔を思い出し子供染みた小さな賭けをしてみる。
振り返ることなんてないと分かっているのに、ドキドキしてしまった。
「えっ」
私の願いが通じたのか浩*************
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