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ウェイトレスがコーヒーを運んで来てテーブルに並べられると、拓人は一口飲み、話を繋げていく。
「俺も何度か経験した事ありますよ。顔面ボコられましたし」
拓人もそんな経験があったのかと、瑠衣は思わず『うわぁ』と口を衝いていた。
「え? あなたそんな経験もあったの!?」
凛華も目を瞬きしながら聞き返すと、拓人は緩やかに頷いた。
「男って、自分が浮気や他の女と遊ぶ時って罪悪感がありつつも、平然とやってしまうような所があるけど、自分の妻や恋人が他の男と浮気や遊んでいたりすると、許せなかったりするんですよね」
言いながら拓人が自嘲気味にフッと笑う。
「他の女と浮気している男でさえも、自分の妻や彼女が別の男と浮気していると許せない。そう考えると、ある意味勝手な生き物ですよね、男って」
「でもさ、女も凄いヤツは凄いじゃん。マチアプで浮気相手やセフレ探したり、男漁りしたりさぁ。まぁ不貞ばっか働いてたら、いつか痛い目に遭うよねぇ」
瑠衣も凛華と拓人のやり取りを聞きながら、コーヒーを口に運ぶ。
「こういうのって恐らく、金で割り切っている風俗や女風と、素人の浮気を混同しているのかもしれないですよね。混同してるというよりも、金で割り切ろうが、そうでなかろうが、他の異性と身体の関係を持った時点でアウト、なのでしょう」
拓人と凛華の話を聞きながら、侑はどうなのだろう? と不意に思う。
彼は何となくだけど、男女関係の失敗を許さなそうだな、と感じる。
不貞をしたら即終了——
バッサリと斬り捨てる、そんなイメージだ。
だから、いくら瑠衣が彼の事を好きになっても、こんな穢れた自分の事なんて、好きになってくれるわけがないし、好きになってはいけないのだ。
侑とは、身体の関係がある師弟関係。それだけだ。