「…… 指輪かぁ」
ボソッと呟いた清一の声がとても感慨深く、嬉しそうだ。
「高校卒業後なら、左の薬指に着けていようが文句言わないぞ」
「本当か?」
「あぁ、こんな事で嘘なんか言わねぇって」
向かい合わせで座る俺の体をギュッと抱きしめ、清一が体を擦り寄せてくる。体の隙間が無くなるくらい俺を抱き締めてきた時、互いの陰茎がぐりっと当たった。
「「あ…… 」」
同時に出た声で、顔を見合ってクスッと笑う。
腰を緩く動かし、体を擦り付け合い、キスを交わす。息が苦しくなる程舌を絡ませ、口の端から唾液が滴った。
清一が持って来たコップに入る氷が少しづつ解けてカランッと音が鳴ったが、俺達は構わずキスを続けた。貪り、求め、服の中に清一が手を入れてくる。胸の尖りを指先で擦り、抓られたせいで腰が震えた。
「おい、清一…… も、もう、スルのか?」
今日は借りてきた映画でも観ながら過ごそうと話していたはずなのに、結局はいつもの様に互いを求めてしまう。
「ダメか?充だって、こんなになってるのに?指輪をもらえるって聞かされて、黙って映画なんか観れないだろ」
「指輪を贈るって聞いて、ココが勃つとか…… 発情し過ぎだろ!」
「そうだな。でも、充が悪い。こんな甘い匂いをさせて俺に跨ってきて、スルなって方に無理がある」
穿いているジーパンのファスナーを下げられて、陰茎をボクサーパンツ越しに擦られる。腰が引け、俺は清一の首にギュッと抱きついた。
「自分で脱げるよな?」
耳元で囁かれては、従わざるをえない。俺は素直にジーパンを脱ぎ捨てると、ボクサーパンツと靴下も床に投げた。
「上は着たままでいい」
脱ぐ為にかけた手を止められ、服をおろした。半端な格好は妙に恥ずかしく、つい着ているパーカーをずり下げて下半身を隠してしまおうとしてしまう。
「相変わらず変態だな、お前は」
「変態でおおいに結構。充の全てに興奮するんだから仕方ないだろう?」
清一はそう言うと、問題の品の入る箱へ手を伸ばし、俺の買ってきた潤滑ゼリーを手に取った。
「…… こんなもんあったか?」
「俺が買って来た。入れておいたら喜んでもらえると思って…… 結果がコレだ」
俺が奴の頰をぐいっと双方に引っ張ると「いひゃいっへ」と言いながらも、清一はちょっと嬉しそうだ。
「そうかそうか。自分で買って来たって事は、充も俺としたいって事だよな?」
手に潤滑ゼリーを取り出し、清一が温める。
(前戯も何もまだなのに…… もうナカを?)
そう思った瞬間、自身の双丘の奥に隠れる蕾がキュンと震えた。腹の奥がずくんと疼き、パーカーで切っ先の隠れる陰茎がヒクヒクとしている。この先に起こる事を体が思い出し、準備をしている感じだ。
本心なのに、言い訳でもしているみたいに声が大きくなった。
「ふーん?そう、か」
そういうことにしておいてやるよ、と清一の顔に書いてある。
ぬるつく指で、俺の双丘を揉み、潜む蕾を清一が嬉しそうに撫でてくる。昨日も、一昨日も、その前もしたソコは少しの愛撫で容易く解れ、奴の指がずぶりとナカに入り込んできた。
「ん…… ふぁぁっ!」
「いいね、充のココはまだ柔いままだ。当然か、毎日愛し合ってるもんな…… 俺に会う前に、毎日この為にナカを綺麗にしてもくれていると思うと、すごく興奮するよ」
前立腺を指先で撫でられ、脳に直接響く快楽に背中が逸れる。気持ちいい、もっとシテ欲しいとばかり考えてしまい、腰を捩った。
「きよ…… もっと、きもちぃ…… 」
服越しでもわかる程の逞しい胸筋に縋り付き、あられもなく腰を振る。こんなのまるで発情期の動物みたいだ。
「いいよ、好きに動いて。着替えはあるんだし、好きなだけ俺を汚して」
恍惚とした顔で変態発言をされた。それなのに俺のモノは萎えるどころか、自分から清一の陰茎の潜む膨らみに対して擦り付けてしまう。恥ずかしいとかそんな事が考えられない。ただただ、気持ちよくなりたかった。
「も、でるぅ…… っ」
口をぱくぱくと魚みたいにさせて、必死に息をする。服の中で擦れる胸の尖りや陰茎が痴態に染まり、もう絶頂は目の前だ。
「あ、あぁ、んっ——」
ずるんと蕾から指が抜け、体を包んでいた悦楽が、目の前から一気に遠のいた。
「へ?…… なんれ?」
回らぬ舌で、とろんとした眼差しを清一へと向ける。もう少しだったのに、もう少しでイケたのに何で?と。
「もっと太いのが欲しいだろ?」
だから、そういうエロゲーとかエロ動画の男優みたいなセリフは止めろ!と思うのに、素直に首肯して答えてしまう。
「いい子だ」
俺の髪を乱暴に二、三度撫で、清一が軽く腰を上げてズボンとボクサーパンツを少し下ろし、陰茎を露わにする。凶器にも似た赤黒いソレが目に入った途端、腹のナカを激しく突き刺され、どろどろに溶ける互いの姿を想像して心が騒いだ。
ゴムをつけ、清一が俺の目を見てニヤリと笑う。嫌な予感がしたが、ぼぉっとする頭でキョトン顔をしながら見返した。
「自分で挿入して、充。お前だって、攻め側を経験してみたいだろう?」
「じぶん…… で?」
「大丈夫。この為に今まで筋トレもしてきたし、体幹も鍛えただろう?平気だよ」
(お前の考えは知らねぇけど、俺はこの為じゃねぇよ)
清一に釣り合うよう、少しでも体を引き締めようと走ったりスクワットをしたりトレーニングルームにも行ったりしたが、決して騎乗位の為じゃねぇ!
攻めを経験してみたいのは確かにある。んでもそれは『立場を交換してみたい』『自分だって童貞を卒業出来たらちょっと嬉しいかな?』くらいなものであって、受け手のまま攻めたい訳ではないんだが…… 期待に溢れた眼差しで今にも弾けそうなまま放置された陰茎をツーッと撫でられ、俺は全面降伏してしまった。
「…… 横んなれよ」
バタンッと勢いよく清一がベッドに倒れた。ほら、どうぞと笑みを浮かべられる中、清一の陰茎を手で握り、ぐっぽりと開く蕾にソレを当てがい、ゆっくり腰を落としていく。
「くっ、んん…… 」
開脚状態で清一の上に跨り、全てを晒した状態であることが恥ずかし過ぎて目を開けられない。顔は真っ赤だし、ヘンな汗は出るし…… 陰茎は今にも爆発寸前だ。とてもじゃないが、清一が満足するまでは自分のアレがもちそうにない。
ゆっくり、ゆっくり、抜いたり挿入したりを繰り返し、馴染ませていく。だけど前立腺が擦れるたびに目の前がチカチカして動きが止まってしまう。そんな俺の様子を見て、清一は満足気に微笑むと、腰を動かし下からぐんっと突き上げてきた。
「んあぁぁ!」
快楽が全身に走り、自分からは動けなくなる。清一の動きに全てを任せ、俺は体を支えるのが精一杯の状態になった。恍惚とした清一の表情に見惚れながら、結局は攻め立てられる立場に甘んじて浸る。嬌声をあげ、ただただた腹のナカを穿つ享楽を骨の髄まで楽しんだ。
「き、きよか…… あぁんっ。きもちぃ」
「だろうな。俺も気持ちいよ。動くたびにチンコも揺れて、いやらしくって堪んないな」
陰茎をギュッと握られ、「だ、だめぇぇ!」と俺は叫んだ。ナカだけで無く、そんなところも一緒に触れられてはイクのを我慢する事など出来なかった。
白濁液がびゅるっと溢れ出し、清一の服をべっとりと汚す。清一はそんな俺の姿を見て満足気に微笑むと、俺の腰骨をがっちりと掴み、下から穿つ動きが早くなった。
「充、充可愛い!いいね、エロくて最高だ。好き、好きだ充。みつ——」
くっと声をもらし、清一の陰茎が俺のナカでドクンッと脈打った。快楽が体内で弾け、清一の悦楽に浸るイキ顔を前に俺の頰が緩む。
(エロいのはお前もだ、ったく)
はあはあと雑な呼吸を繰り返し、清一が達したモノをずるりと引き抜く。抜け出た喪失感を少し感じつつ、俺は清一の体の上へバタンと倒れた。
「好きだよ、充」
「あぁ、俺もだよ」
頰にキスをしてくれたので、俺からも頰へと口付けて返す。
部屋に来てすぐにあんなもん発見して、『さぁ、どうしたもんか』と思ったが、嫌いになどなれそうにない。消すと合意してくれているし、あとは目の前で消去させるだけだ。
「……もう一回したい、充」
「んじゃまずは、今すぐデータの消去。そして、事後には卑猥な写真の焼却。わかったか?」
「わ、わかった」
しゅんとした声が聞こえる。本気で嫌なのを必死に耐えているのだろう。クリスマスプレゼントに指輪を贈るだけでは…… まだ不満なんだろうか。
「…… 今度、コスプレでもするか?」
「い、いいのか⁈」
食い付きの良さにちょっと引いたが、悔いは無い。あんなもん残されるよりは数倍マシだ。
「あぁ、もちろん。男に二言は無い。でも、この先俺の許可無く、何も記録するなよ?」
「じゃあその代わり、この先も沢山色々させてくれるか?」
「変態行為は勘弁しろよ。犯罪になるようなのも嫌だ。でも…… まぁ、そうじゃ、無ければ」
俺の首に腕を回し、強く抱き締めてくれる。
「うん、うん…… ありがと」
俺って甘いよなぁ…… とは思ったが、縋り付いて喜ぶ清一が可愛くって堪らない。『写真とかで残しておきたいな』と一瞬感じてしまい、俺も清一のことを責められないなぁと思った。
(まぁ、やらんけどな)
【番外編②・終わり】
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